内容説明
一九二〇年代前半、亡命ロシア人の子弟が通うギムナジウムで、ロシア革命後の体験をテーマにした作文が生徒たちに課された。内戦期の混乱に巻き込まれ、肉親との別離や飢えを経験し、難民同然の身で異境の地への亡命を余儀なくされた子どもたちは、その過酷な体験をどのような文章に託して語っているのか。
目次
第1章 革命、内戦、そして亡命―子どもたち自身の語る歴史的背景
第2章 子どもたちの見た革命とボリシェビキ
第3章 失われた楽園としての革命前のロシア
第4章 革命後の混沌
第5章 子どもたちの見た内戦
第6章 難民としての放浪
第7章 生徒のトラウマと無関心な自然
著者等紹介
大平陽一[オオヒラヨウイチ]
1955年、三重県生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。現在、天理大学国際学部教授。専攻は戦間期チェコにおける亡命ロシア文化
新井美智代[アライミチヨ]
1961年、埼玉県生まれ。奈良女子大学大学院博士課程人間文化研究科退学。現在、同志社大学、奈良女子大学、関西大学非常勤講師。専攻は物語論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
4
1923から1924年にかけて、チェコスロヴァキア、トルコ、ブルガリア、旧ユーゴのロシア中等学校に在籍する亡命ロシア人の子どもたち(一部大人)に対して、自分のロシア革命の体験について書かせた作文集。1924年に出版された当時 、大反響を呼び、企画は各地で行われ、続編が出たらしい。歴史書とは異なる一般の人々、さらに子どもたちの視点が非常に貴重。しかしその中でも本当に辛かったことは書かれていないだろうなと思う。地名を追いながら読むと、ロシアの広大さを感じる。しかし地域差はあるものの、同じ経験の過程に収束。2021/01/03