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内容説明
極度の不眠症に陥ったマーヤ。酒も薬も、カウンセリングも彼女を救うことはできない。眠れない苦しみを抱え、眠れる人々への怒りに駆られて、夜の街をさまようマーヤ。その彷徨のはてに、「仲間」となるひとりの中年男と出会い―
著者等紹介
ヴェルベーケ,アンネリース[ヴェルベーケ,アンネリース] [Verbeke,Annelies]
1976‐。作家、コラムニスト、脚本家。ゲント大学でゲルマン文学を、ブリュッセルの芸術系高等専門学校リッツで脚本を学ぶ。2003年に刊行した長編小説第一作『ネムレ!』によってフランダース新人賞はじめ数々の文学賞を受賞、一躍人気作家となる
井内千紗[イノウチチサ]
2012年大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程単位取得退学。現在は国際短期大学他で英語関連科目の講義を担当する傍ら、ベルギー・オランダ語圏の言語文化や文化政策について研究している。フランダースセンター(現アーツフランダース・ジャパン)のフランダース文学翻訳セミナー(2010年/2011年)に参加後、2013年刊行の現代ベルギー小説アンソロジー『フランダースの声』(松籟社)ではアンネリース・ヴェルベーケの短編『グループでスキップ』の翻訳を担当した。その他、オランダ語脚本の翻訳なども手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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きゅー
9
不眠症の女性マーヤが深夜に街を徘徊していると、同じく不眠症の男性ブノワと出会う。それぞれの視点で物語が展開される。フランダースやオランダの新聞各紙で、ストーリーの構成や独創性が高く評価されたとのことだが、どうだろう。 物語自体はエロティシズムに溢れたごく普通の小説に読めた。ユニークな点としては、オランダ語の作品ではありながら、フランダース地方の特性に基づきフランス語、イタリア語等の複数言語で書かれていることではないか。物語もフランダース地方の都市ゲントが主な舞台となっており、地域性に富んだ作品ではある。2021/10/21
qoop
5
むくみ崩れた姿形、自堕落で魯鈍な所作、苛々し同時にノロノロしたその心理状態… まさしく健全・健康の対極にある主人公たち。夜の巷を彷徨する逸脱者たちの姿を通して、自暴自棄に陥りながらも幸せを求める様子を被虐的なロマンティシズムに乗せて書いた物語。無防備な安眠=安穏な生活から遠ざけられた人々を不眠症というメタファーによって描く設定は単純ながら面白く、映像的だと感じた。一つのアイディアを敷衍させ、強引に走りきった印象も受ける。2018/12/18