内容説明
ヘミングウェイの宗教に対する姿勢は終生、揺れ動いていた。信仰を持ちたいと願いながら、持てないでいる苦しみ―ヘミングウェイの生涯続いた信仰をめぐる葛藤を、いわば神との挑戦的な対話をたどり、ヘミングウェイ作品を読み直す試み。
目次
序章
第1章 ニック・アダムズと「伝道の書」―オークパークとピューリタニズム(恐怖の引き金;オークパークの光と闇;「神の恵みに救われて」と「伝道の書」 ほか)
第2章 信仰途上のジェイク―スコープス裁判と聖地巡礼(信仰途上のジェイク;ブライアンの死;ビセンテ・ヒローネス物語 ほか)
第3章 届かない祈り―戦争とカトリシズム(祈りの意味;隠蔽された告白;失敗する祈り ほか)
第4章 異端審問にかけられたキャサリン(パウロの特権;不道徳な語り手;ノリ・メ・タンゲレ)
第5章 信者には何もやるな―出産と自殺の治療法(教会から医学へ;ある信者の手紙;父と子と自殺 ほか)
第6章 革命家の祈り―政治と宗教の狭間で(革命か教会か;共産主義とカトリックの排他性;神を失った共和国側と神に守られる反乱軍 ほか)
第7章 サンチャゴとキリスト教的マゾヒズム(ヘミングウェイ・ヒーローとキリスト;痛みのスペクタル化;聖痕と男根 ほか)
第8章 ニック・アダムズと楽園の悪夢(晩年にたどりついた楽園;ニックの原罪;健全な宗教と病んだ魂の宗教 ほか)
終章 ヘミングウェイが見た神の光
著者等紹介
高野泰志[タカノヤスシ]
京都大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岩手県立大学講師を経て、九州大学大学院人文科学研究院准教授。専攻はアメリカ文学、とくにアーネスト・ヘミングウェイを中心に研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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