出版社内容情報
『カンタベリー物語』の作者として知られる、ジェフリー・チョーサー。彼の作品の主軸である自然の概念とは何なのか。チョーサーの作品では、歴史的題材のみならず、宮廷生活から庶民の生活にいたるまでの幅広い題材がとり上げられている。同時に、彼の作品からは、12世紀ルネッサンスの人文主義、学問、諸学芸からの多大な影響を垣間見ることもできる。12世紀の人文主義者たちは自然について新たに関心を抱き、天上界と地上界の成り立ち、生物、人間の成り立ちについて論じていた。中世の自然観は、ギリシャ・ラテン文明やヘブライニズムからヨーロッパが引き継いだ自然観の発展であると同時に、文学史的にはチョーサーより後代のシェイクスピア、スペンサーにも大きな影響を与えている。この果てしない「自然」を、数多くのチョーサーのテクストを通じて捕獲する試み。
序
第Ⅰ部 「自然」の語源と歴史的背景
1 自然natureの語源
2 歴史的背景
第Ⅱ部 作品論
1 『鳥の議会』─結婚にはたらく自然
2 『公爵夫人の書』─生と死を司る自然
3 「医者の話」(『カンタベリー物語』)─自然に背くこと 病むこと
4 「バースの女房の前口上」(『カンタベリー物語』)─反撃する自然の娘
5 『トロイルスとクリセイダ』─恋の心変わり
6 『誉の館』─遺伝子情報と情報>
おわりに―自然といのちある言語について
参考文献
内容説明
チョーサーの作品を貫く自然の概念とは?
目次
第1部 「自然」の語源と歴史的背景(自然natureの語源;歴史的背景)
第2部 作品論(『鳥の議会』―結婚にはたらく自然;『公爵夫人の書』―生と死を司る自然;「医者の話」(『カンタベリー物語』)―自然に背くこと病むこと
「バースの女房の前口上」(『カンタベリー物語』)―反撃する自然の娘
『トロイルスとクリセイダ』―恋の心変わり
『誉の館』―遺伝子情報と情報
おわりに―自然といのちある言語について)
著者等紹介
石野はるみ[イシノハルミ]
1969年津田塾大学学芸学部卒業。1976年同志社大学大学院文学研究科修了(文学修士)。現在、大阪国際大学国際コミュニケーション学部教授。中世英語英文学会会員。日本英文学会会員。専攻は中世英文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。