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出版社内容情報
極右勢力の扇動、歴史修正主義の現象、原理主義やナショナリズムの台頭・・・切迫した状況にいる2人の哲学者が、いかにしてナチ・イデオロギーが形成され得たのかを省察する。
内容説明
極右諸勢力の活動と扇動、「歴史修正主義」の現象、原理主義やナショナリズムや純粋主義の台頭…切迫した状況の真っただ中に身を置く2人の哲学者がいかにしてナチ・イデオロギーが形成され得たかを省察する。
著者等紹介
ラクー=ラバルト,フィリップ[ラクーラバルト,フィリップ][Lacoue‐Labarthe,Philippe]
1942年生まれ。ストラスブール大学教授
ナンシー,ジャン=リュック[ナンシー,ジャンリュック][Nancy,Jean‐Luc]
1940年生まれ。ストラスブール大学教授
守中高明[モリナカタカアキ]
1960年生まれ。現在、早稲田大学教員。詩人
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
9
二番煎じを万年繰り返すドイツは自分に足りない主体を求め、古代ギリシャという完璧な理想を模倣しつつそれだとオリジナルになれない二重拘束の中で、思弁と美学に励んでイキる妬み解消法を模索。一方は観念論哲学を作り他方は「芸術作品における芸術作品による芸術作品としてのドイツ民族」を目指して、神話の再創造というプロジェクトをナチスが継承する。ゲルマンの主神オーディンが死んだとて別の仕方で再生させ、民族の力とベルトルが集まる夢の潜勢力を現実化する企図。だから次の反復も、大衆文化のきらめきと享楽の内に行われると予測可能。2024/07/12
きつね
5
64「神話は一個人あるいは一民族の根本的な力と方向の数々を結集する潜勢力、地下に隠れた、目に見えぬ、非経験的な同一性の潜勢力である。(…)神話は固有なる差異としての同一性を、そしてその断言=肯定を指し示すのだ。しかしまた、そして何よりも、神話はこの同一性を、一つの事実としても言説としても与えられることはないが、しかし〈夢見られる〉何ものかの同一性として指し示す。神話の潜勢力とは、本来的に夢の潜勢力、人がみずからをそれに同一化する一つのイメージを投影する潜勢力なのである。」2014/10/20
nranjen
4
図書館本。ナチスがどのような神話を用いたか、という話ではなく、ナチズムそのもの、国民ー社会主義そのものの「神話」としての機能の在り方を述べた本。神話とはそもそもフィクションであり、プラトンが言うように能動的な加工であり形成術である。ナチスは単に「政治の美学化」だけでなく「芸術作品としての政治的なるものの産出」し、完成した神話、完成したフィクションとして自らを提示していた。ドイツ人の二つのギリシアを発見し、アポロンのギリシアはディオニソスのギリシアによって解放され、脱構築、乗り越えられる。政治=悲劇的祝祭2020/10/12
★★★★★
2
最近は日本でもよく名前を目にする、フランス思想界の大物コンビ。某所における口頭発表をもとにした、短いブックレットが本書とのことです。近代化に遅れをとったドイツにとって、西欧民族としてのアイデンティティを確立するうえで必須である「ギリシアを模倣する」という作業が、同時にライバルであるフランスら先行者の二番煎じにもなってしまうという矛盾に直面した結果、なんやかんやで出てきたのがナチズムである、って趣旨のようです。翻訳のせいか、少々読みにくかった。2009/08/16
oz
1
初読。ナチズムはドイツの諸古典や哲学の複雑な概念の上に立脚した非常にドイツ的なイデオロギーで、外国人の我々には正確な理解など出来ようもない、だから歴史でなく哲学的にナチを解釈しようという試み。しかし圧倒的な短さの上注釈と訳者あとがきが長い!本論だけならパンフレット並である。ナンシーさんがナチをどう斬るか見たいだけなら立ち読2010/01/28