内容説明
『判決』から『変身』、『流刑地にて』、さらには『田舎医者』へといたるカフカ作品を、「罪と罰」の無限運動をめぐる物語群として、剔抉する。
目次
『判決』をめぐって―召喚された自己(脅迫的自己としての「ロシアの友」;自己の統合の不可避性と不可能性;「ロシアの友」の召喚と「父」の復活 ほか)
『変身』をめぐって―存在と非在のはざまで、あるいは行動から観察者へ(「変身」の両義性;「赦免」の不在;「所有」の喪失・「食欲」の喪失 ほか)
『流刑地にて』をめぐって―裁く機械(=〈父〉)の崩壊?(零化した「罪」;「罪は疑うべからず」;「死」との交換の自己認識 ほか)
『田舎医者』をめぐって―帰属からの脱落(仲介不能の自己分裂;「出発」の二重の不可能性;「傷」の両義性 ほか)
著者等紹介
三瓶憲彦[ミカメノリヒコ]
1947年東京に生まれる。1972年東京外国語大学大学院修士課程修了(ドイツ文学専攻)。現在、高崎経済大学地域政策学部教授。著書に『死の変奏―ヘルマン・ブロッホ/トーマス・マンのために』(松籟社)。翻訳に『キルケゴールの講和・遺稿集 第6巻』(新地書房、共訳)、ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(音楽之友社、共訳)、N・ルーマン『宗教社会学』(新泉社、共訳)、ワーグナー『ローエングリン』(音楽之友社、共訳)など
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