内容説明
遺伝子産業の拡大、薬害エイズの究明問題、原子力発電所の事故隠し、ダイオキシン汚染…わたしたちは、科学技術の成果を、ただ受け入れることしかできないのか?別の回路はないのだろうか?『混沌からの秩序』の科学哲学者、I.スタンジェールが、「少数者の対抗‐権力」を追求。
目次
1 科学の名の下に(科学とはいかなるものでありうるのか;一つの規準を求めて ほか)
2 実験室の権力(いったいパストゥールは何を証明したのか;科学的存在者の存在様式 ほか)
3 権力の毒(多様な諸権力;切断された脳 ほか)
4 市民社会のなかの諸科学(諸科学と民主主義;不合理な夢 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒナコ
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濃厚で凝縮された科学哲学書。物理学、医学、生物学、経済学と次から次に科学を著者は横断していく。この科学の冒険で著者は、科学的合理性は実験室の計測器が示す兆候のことであると同時に、その因果関係を利用する人の関心、意味を持たせたい人の関心の集合体であると断言するに至る。一方に科学的なデータを操作する科学者、もう一方にデータとして扱われる個人性を剥奪されたサンプル。この権力関係にひび割れを引き起こす事件は何か?著者はアディクション当事者団体とエイズ患者団体に焦点を絞り、来るべき合理性について論考している。2016/12/28




