ムージル著作集 〈第4巻〉 特性のない男 4

ムージル著作集 〈第4巻〉 特性のない男 4

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  • サイズ B6判/ページ数 291p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784879841438
  • NDC分類 948
  • Cコード C0397

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

127
もはやこの脱線や停滞に味わい深さを感じる。単に、夫婦ならいたわり合い、恋人同士なら身を寄せ、不倫だとしたら精神的にでも肉体的にでも楽しむか苦しむか、兄弟姉妹なら離れている期間が長かっとしても心の底で分かり合えること確認すればいいのだ。それを分析し、説明し、議論しあう。なんのため…? オーストリアの皇帝の話は後ろの方に隠れてしまったではないか。今、一番知りたいのは、果たして作者は計画立てて書いたのか、書いてるうちにどんどん構想が膨らんでいったのかということ。この中で将軍の持つ味がたまらない。2017/05/08

syaori

61
人間には論理的思考と感情という二つの思考があって、誰の中でもこの二つが混ざり合っていると作者は言う。ただ、合理性や業績を重んじる現代社会は論理的思考を発展させたけれど、「その総括を司る」感情のほうは古いまま放置してきたのだと。現代人の「感情の浅薄さ」も、現代社会の冷酷さ、移ろいやすさや不安定さもこの「本末転倒」に起因しているのだと、作者はウルリヒの皮肉な目を通して語ってきたように思います。一次大戦を前に世界が袋小路に陥っているように思える中、彼の生き方を語ることで作者は世界に何を示してくれるのか。次巻へ。2020/08/10

NAO

45
平行運動の進展はなく、もっぱら愛の話へ。メンバーであるディオティーマとアルントハイムの18世紀的純愛は、ゲーテを好み引用するものの金に縛られているアルントハイムに純愛が貫けるわけがない。ウルリヒの親友ヴァルターとクラリセの19世紀的な観念愛は、ニーチェを常に引用するわりにヴァルターが平凡な幸福を求めているため結婚生活は破綻している。若きハンスとゲルダの20世紀的な愛は、ハンスが民族主義イデオロギーにいかれているため実らない。様々な愛の形がある中、ウルリヒは自らシャム双生児と称する妹のアガーテと密接に。2016/07/23

かんやん

25
ウィーンに戻ったウルリヒは、妹アガーテと共同生活を試みる、双子のように、シャム双生児のように。しかし、彼らを取り囲む千篇一律の世と平行運動は二人を離さないし、アガーテの夫は怒り心頭だ。兄妹はますます浮き世離れしてきて、ちょっとは世間の荒波に揉まれてこいよ、と言いたくなる。著者の分身?理想?であるウルリヒが一人勝ち状態で、世界と人々を見下し、女たちを惹きつけ、ライバルたちはジタバタし、という構図に、ムージルらしいなとは思うけれど、不人気の理由はそこにもあるのかな、と。しかし、物語はいよいよ佳境に入ってきた。2019/03/29

atomos

12
この巻始まってすぐ不意に変質者が出てきて、なんだなんだと読み進めていると、平行運動なんてそっちのけで性的なことばかり話題になってきて、かなり笑えた。ムージルさんによるアガーテちゃんの描写がやたらとエロいw近親相姦なウルリヒ&アガーテ兄妹は、自分たちのことを「シャム双生児だ!」とか言い出すし、ほんと頭がおかしいです。平行運動の不毛な議論がなくなった分、読みやすくて面白い巻だった。2014/11/22

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