感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
28
京都・松香堂の本、3冊目。全て文字関係で著者は中西亮氏。松香堂は中西印刷の出版部である。世界各地の新聞など資料が満載。文字を訪ねる旅は生やさしくなく、出版の1982年以後、国際情勢も変り、もう一度誰かが徹底して文字を集めるのは難しそうだ。世界の文字研究に、中西コレクションが果たした役割を考えると、この本自身、単なるエッセイにとどまらない貴重な資料だろう。2016/04/09
yoneyama
10
山岳書を出してくれる京大前のナカニシヤの先代社長(1928生まれ)は、世界文字マニアだった。1970年代に旅行した世界50文字ヶ国の新聞や雑誌などを蒐集する。この本ではその町の旅行時の印象などを盛り込んだエッセイ仕立ての読み物で、文字の話も面白いが1970年代の世界の世相風俗が興味深い。この時代にこれだけ広く旅行をした人も多くはないと思う。文字という自分だけの切り口を持つだけで、旅行はこれだけ面白くなるのだ。50年前の日本の良識は、もちろん今とはかなり違うのも面白い。旅行記は書いておくものだなと思う。2024/11/03