感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
66
【疲れた心は何を聞くのもいやだ と云うのです 勿論 どうすればよいのかもわからないのです 「ある昼の話」の冒頭】素封家に生まれるも、生涯にわたってほぼ定職を持たず実家からの仕送りで生活し、絵画から詩作に転じ詩に没頭するという無頼の人生を送った、宮沢賢治とも接点がある、尾形亀之助の詩集。「月夜の電車」<私が電車を待つ間 プラットホームで三日月を見ていると 急にすべり込んで来た電車は 月から帰りの客を降して行った>。「年のくれの街」<町は夕方ちかかった 風もないのに 寒むさは服の上からしみこんでくる>。⇒ 2023/07/23
けんとまん1007
49
まさしく、出会うべくして出会った1冊。予約本を取りに図書館へ。そこの新刊コーナーにあって、魅入られるように手に取っていた。ただただ、いいなあ~。無駄な力が入っていない、ひねってもいない、技巧をこらそうという意思も感じない、自然体そのもののように感じる。光景が浮かび、音が聴こえてくるようだ。本の手触りも含め、久しぶりに五感で読んだ。そこはかとない寂しさが薄っすらと流れている。装丁がクラフトエヴィング商會・・・なるほど・・と。2022/09/13
pirokichi
25
詩集。タイトルに惹かれた。羊羹は暗いけど、そうかカステーラは明るい夜なのかって。「亀之助」って最近の若い人にしては古風な名前だなと思っていたら、1900年に生まれて1942年に亡くなられた方だった。そうか、最近の人は「カステーラ」なんて言わないか。「私は夕方になると自分の顔を感じる 顔のまん中に鼻を感じる 噴水の前のベンチに腰をかけて わたしは自分の運命をいろいろ考えた」…今日はこの『秋の日は静か』という詩が最も心に沁みた。2022/09/17
めまい
6
自然体ってこういうことなのかなと思う。独特の感性に圧倒されるというより、作者が自然体で捉えた、日々の出来事を並べたお店屋さんみたいな感じ。気に入る一つを見つけるのが楽しい。装丁がクラフトエヴィングで最高です。2022/07/15
ぞしま
4
尾形亀之助しごくよい。もっと読みたい。2021/11/13