内容説明
戦後初の本格的同人詩誌と目される北九州の「鵬/FOU」、それに続く関東の「新詩派」「純粋詩」、初の総合詩誌「近代詩苑」、そして敗戦を跨いで発行された執念の詩誌「麦通信」。本書の標的は現代詩の「いま」である。その母胎をなす戦後始動期の200名に迫る詩人たちの詩魂に真向かう。
目次
おおとりは焼け野原の空に羽ばたいた―「鵬」創刊号
戦時詩への避けがたい批判と自省―「鵬」第二号から第六号、改名「FOU」第七号から第一〇号
詩人は人間における前衛である―「FOU」第一一号から第一七終刊号
北九州に足跡を標した詩人たち―「鵬/FOU」同人の出自と横顔
焦土を割って芽吹いた関東の同人誌―「新詩派」創刊から第三集
さきがける鳥は傷を負って飛ぶ―「新詩派」通巻第四集から終刊第八集
不眠の蒼ざめたvieの犬が―「手紙 一九四六年早春」を巡る詩人の交歓
詩は物語る絵画か―「純粋詩」創刊号から通巻第一〇号
席巻する「荒地」の詩人たち―「純粋詩」通巻第一一号から第一六号
座を空ける「荒地」と左傾する本流―「純粋詩」通巻第一七号から第二七終刊号
超インフレに翻弄された戦後初の総合誌誌―「近代詩苑」全三冊
地べたにでも書く・書かせる―戦時と戦後をつなぐ小詩誌「麦通信」八冊
著者等紹介
南川隆雄[ミナミカワタカオ]
1937年三重県四日市市生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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午後
3
戦後詩と言えば「荒地」が一番に思い浮かぶが、それ以前にも、終戦直後から詩の雑誌が発行されていた。戦後詩誌の先駆けと目される北九州の「鵬/FOU」や関東の「新詩派」、荒地派のメンバーに作品発表の場を提供した点でも意義深い「純粋詩」や総合詩誌「近代詩苑」、北園克衛の尽力により、戦時中から戦後にかけてしぶとく刊行を続けた「麦通信」など、戦後詩誌の創刊から終刊までの経緯や、各号の目次、注目すべき作品や論考などを概説しており、非常に興味深い本。戦後詩誌の勃興時の様子やそれぞれ伸長を知る上で参考になる。2021/05/28