目次
虎
神経症のレッサーパンダ
枯れ野原
膨らむ
芋虫
白い仔犬
せんせい
眠り
空気猿
マンボウの皮膚
空腹
洗濯機
指覚え
病室
テーブル越しの話
著者等紹介
深沢レナ[フカザワレナ]
1990年生まれ。法学部卒業後、専業主婦生活を経て、現在、大学院生。文芸同人『プラトンとプランクトン』主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちぇけら
19
でも救ってって言いたい。痛い、でも痛くないって言ったせんせいが言った血はでないよって。でなかった確かにわたしから血は。わたしには乾いた無数の線が走っていてだから切り取ってみただけだった。体育館の裏は傷だらけだった、わたし涙だってでなかったしなにも、わたしはもう。もう最終楽章は終わっていて誰かが食べのこしたポップコーンの粉末を食べているひとがいた。灰色だよ世界は。慟哭は睡眠によって吸いこまれていく。花。眠って眠って眠って灰になってわたしたちはようやっと眠りにつく。おやすみ、ずっとこのままで痛いね。居ようね。2019/10/14
しゅん
14
半透明のカーテンが部屋の内側にゆるく広がる。静かな正午前に紙の中の小さな、密かな惨劇を読んでいる。それは、こびりついた恐れをおそるおそる引き剥がすような、今起きていることに「わたし」以外誰も反応しないことを遠くに伝えるようなそんな時間で、洗濯機の前に立ったまま幾つもの声を交わせない他人が身体に入り込んでくるそんな類の孤独を思う。膨らんで身動きが取れない、糸が絡まって身動きが取れない。幾つもの身動きの取れなさを、有限な時間に囚われ続ける身体に重ねながら、この詩集に集う言葉について考えている。2022/08/09




