内容説明
ある春の日、装丁家として働く久我誠一郎のもとに葛城礼奈と名乗る女子高生が現れる。彼女の腕には誠一郎が初めて表紙を描いた本が抱かれており、礼奈は誠一郎に絵を教えてほしいと頼み込む。二年前の事件で装画家を辞めた誠一郎は最初は断るが、礼奈に圧され、装丁家の弟子として迎え入れる。次第に明るくさっぱりした礼奈がいる生活に慣れていくが、礼奈になぜ装画家を辞めたのかと尋ねられた誠一郎が苦い思い出を話すと、礼奈はあることを決意し―。
著者等紹介
日野祐希[ヒノユウキ]
1988年生まれ。静岡県浜松市出身。大学では図書館情報学を学び、現在は愛知県で大学図書館職員として奮闘中。就職してから小説を書き始め、Webでも同ペンネームで活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
55
序盤の拙速さを除けば、良い作品だった。装丁の基本を知ることができるし、「押しかけ弟子」の登場で情熱を取り戻す青年の葛藤がよく書けている。2017/05/20
なな
13
げみさんの表紙イラストに惹かれたのが読むきっかけになりました。加えて、装丁家と装画家の話も興味が湧きました。レナが憧れて誠一郎に押しかけ、弟子になったのに、タメ口や意見する様子が少し残念でした。しかし誠一郎がもう一度装画に向き合うようになる過程は清々しい気持ちになりました。結末もハッピーエンドで、久我デザイン事務所が賑やかな雰囲気になり、読後感も幸せな気分に浸れました。2019/04/01
barcarola
5
装丁や装画がテーマのお仕事小説ということで興味津々で読み始めたのだが……礼奈の言動がひどすぎる。物語序盤ですっかり醒めてしまった。2022/09/04
チェス
5
読みやすくて面白かった。2022/05/22
よう
4
会話のような文体でとても読みやすかった。師から弟子へだけでなく、その逆も成立する誠一郎とレナの力強い師弟関係が良いなと思えた。お互いが磨き合える関係。新野さんの面倒見良さ包容力や、レナママの朗らかな笑顔でどっしり構えてられる度量もステキ。誠一郎やレナが苦しみ悲しみを乗り越えて、最後は力強く再スタートを切れる、清々しい気持ちになれました。久我デザイン事務所の再スタートに、万歳っ!!2017/06/18