内容説明
「春日局」が乳母だけならば、あんなに威張って天下の権を握って、死ぬまで大奥にいられることもない。春日局の実父が「本能寺の信長殺しの斎藤内蔵介だった」という点も、併せて考えさせられる問題である。しかし春日局と家光の間柄を、これまでの俗説のように乳母とみてゆくと、可笑しすぎる事が多い…。家光出自の秘密と天海僧正の正体。
目次
家光の立場
真実はどこに
信長殺しの娘
本能寺の謎
家康という男
岡崎三郎信康
国松妄想
伏見城幻影
彼こそ信長殺し
著者等紹介
八切止夫[ヤギリトメオ]
1914~87。小説家。名古屋市生まれ。日本大学、明治大学で講師を務めた後、64年、「寸法武者」により第三回小説現代新人賞受賞。67年、『信長殺し、光秀ではない』『寸法武者』を刊行。以後、“八切史観”とよばれる独自の史観に基づく歴史小説や評論など膨大な著作を発表。その数は二〇〇冊を超える
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感想・レビュー
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磁石
15
太古から今に至っても、原住民系/神道系VS渡来民系/仏教系の戦いは続いていた。神仏習合によってなくなったと思いきや、世が乱れるとたちまち元の木阿弥、この二つは二つであるがゆえに解け合うことはない。その争いにキリスト教が割り込んできたのが戦国時代、点火薬/硝石を独占することで日本を支配しようとした。信長は彼らを利用して協力して裏切ったことで、本能寺にて爆殺された。その陰謀の醜聞は、徳川家康に/江戸時代にも引き継がれていった。……宗教を混ぜることで驚くほど明解になる日本の歴史、教科書に載っていないのが残念2017/06/16
Berlin1888
1
「信長殺し、光秀ではない」の続編なんだけど、前作とは違って、かんっぜんに時代小説(歴史小説?)。自分たちの子として育てるように家光を押しつけられた秀忠とお江。お江が探偵役となって、本能寺の変の真相とその背景にある徳川家康の出自の真相にせまる……というお話。まあトンデモなんですが、前作よりもフィクション度は高く、ふつーの時代伝奇ミステリとして読める分、気安く楽しめるかも。お江亡き後、家光の出生の解明は忠長に引き継がれるものの、忠長の抹殺によって追及は打ち切られて、真実は闇の中。2016/12/23