内容説明
戦争と国家をめぐる昭和文学の情熱と葛藤。時代の語り部たちの意志と想像力を読み解く。
目次
第1部 戦争との対峙(或る埋葬―坂口安吾『白痴』『桜の森の満開の下』試論;低空飛行家の夢―武田麟太郎の反時代精神;“算術的私小説”の活路―川崎長太郎の戦争と老年;“二つの矛盾”との格闘―武田泰淳の昭和初・十年代;共有された主題―武田泰淳と埴谷雄高の人間凝視)
第2部 戦後的時空での幻想(「幸福」という存在論―三島由紀夫『美徳のよろめき』を中心に;「恥辱」と「変身」の想像力―中井英夫の戦後についてのノート;倒立した浦島伝説―結城信一考;二律背反の帰趨―清岡卓行の大連体験;郷愁の発展―“三位一体の想像力”について)
第3部 「日本」との葛藤(逃亡と脱出の情熱―松本清張『半生の記』と初期作品の精神構図;反制度の継承―松本清張と菊池寛の「メディア」と「読者」;語り部の懐―大城立裕『日の果てから』の位置;危機の超克―中野孝次『実朝考』の磁場)
著者等紹介
小笠原賢二[オガサワラケンジ]
1946年北海道生まれ。文芸評論家
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