内容説明
気鋭の執筆者による、ポストコロニアリズムの初めての総論的入門書。カルチュラル・スタディーズ、フェミニズム、ポストモダニズムなど隣接する思想を踏まえ、ポストコロニアリズムの思想と理論を詳説。近代日本150年を東アジア/欧米との関係から捉え直し、21世紀日本の在り方を展望する。沖縄の米軍基地問題、「従軍慰安婦」問題、歴史教科書問題からアメリカ同時多発テロまで、激動する日本/世界の課題を歴史的に読み解く。サバルタン、ディアスポラ、サイード、スピヴァックなど知っておきたいキイワード・主な論者・著作を解説・ブックガイド付。
目次
第1部 座談会・なぜ今、ポストコロニアリズムなのか?
第2部 ポストコロニアリズムは、どのような問題意識から問われてきたのか?
第3部 座談会・「私」たちにとって、ポストコロニアリズムとは何か?
第4部 ポストコロニアリズムは何を問題にしているのか?
第5部 キイワード解説/主な論者・著作紹介
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。東京大学社会情報研究所教授。専攻は政治学・政治思想史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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あまん
5
植民地主義以後。植民地支配が終わり、独立していく国々についての研究だ。確かに、独立は果たされて自国文化を取り戻すことが可能になるはずだ。しかし、新たな問題がそこには発生している。ポストコロニアリズムとは植民地支配国の残した、消えることのない影響を埋没させないことに重きを置いているのだろう。日本も例外ではない。もちろん、原爆を落とされて大きな被害を蒙り、敗戦国となった。しかし、それだけだろうか。被害者意識のある私達は、加害者意識を少しでも持ち合わせているのだろうか。それの可能が他文化受容に繋がると強く思う。2021/09/05
Mealla0v0
1
ポストコロニアリズムの、入門書というよりは「ガイドブック」。ポスコロの概念や論者の紹介だけではなく、様々な研究者のアンソロジーに加えて、「日本でポストコロニアリズムを語ること」の意義などについての対談も収められており、包括的である。本橋哲也の同名の新書とセットで読みたい。▼かつて植民地帝国だった過去を持つ日本は、どのようにポスコロを語りうるのか。このことは、様々な政治的係争を呼び起こすことになるが、同時に倫理的に要請されるのである。そのことを忘れないようにしたい。2016/07/18
OKKO (o▽n)v 終活中
1
図書館◆「植民地のキリスト教美術について研究したい」と教授に述べたところ、ポストコロニアリズムにも目配せするようにとの指令下る。「えー、現代史イヤだなあ……」とシブシブ手をつけたわけだが、けっきょくは今につながる問題として捉えなければコロニアリズムは理解できないのだとウスウスわかった次第。しかも、なぜ植民地美術やりたいと思ったのか、という自分の内部の動機がやや明らかになる結果に。それでも心理的ハードル高すぎて全ては読めなかったので、また必要なときに借りて、諸言説についてちびちび学ぶか……2014/01/26
keepfine
0
読むのに大変な時間がかかった。そして多大な労力を費やした。2本目の鼎談はちょって自己語りが多くてつまらなかった。勿論自己語り抜きにしてポストコロニアルを論じること事態が筋違いなのはわかるのだが・・・。各種のタームに関しての解説は有用。2015/09/30
宵子
0
戦後の植民地主義後の思想について書いたもの。ナショナリズムやサイードのオリエンタリズムに関心がある人にお勧め。もっとも私は海外における日本教育について知ろうとして読んだが、ちょっとズレたが(´д`|||)2014/07/20