内容説明
フリーメイスン、薔薇十字団など多様な形態を通してヨーロッパ精神史に多大の影響を与えたユダヤ神秘主義の奥義=カバラの伝統破壊的偉力を斯界の碩学が解明する。ユダヤ神秘主義の奥義。
目次
ヨーロッパ精神史におけるカバラの地位
錬金術とカバラ
宗教現象としてのニヒリズム
ユダヤ教の宗教的カテゴリーとしての啓示と伝承
一九〇〇年から一九三〇年の間のドイツにおけるユダヤ人の社会心理について
ユダヤ的敬虔の三つのタイプ
著者等紹介
徳永恂[トクナガマコト]
1929年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。現在、大阪国際大学政経学部教授
波田節夫[ハタセツオ]
1931年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。現在、大阪大学名誉教授。文学博士
春山清純[ハルヤマキヨズミ]
1945年生まれ。大阪大学文学部博士課程単位取得退学。現在、神戸薬科大学教授
柴嵜雅子[シバサキマサコ]
1988年、大阪大学人間科学部博士課程単位取得退学。現在、大阪国際女子大学教授
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感想・レビュー
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roughfractus02
4
錬金術とカバラに密接な関連性はない、というのが本書の趣旨なのだろう。両者共に象徴表現を解釈するが、錬金術は森羅万象を、カバラは文献を象徴解釈する点で異なる。著者が錬金術に対するユングの心理的還元に疑義を抱きつつエラノス会議に出席したのは、文献学的知を導入するためだったとされる。ユングは象徴を元型概念に集約するが、著者はそれを歴史と共に変容し続けると解する。確かに、錬金術のホムンクルス形象にも個性化過程を読むユングに対し、他の著書で著者はカバラのゴーレムの形象に距離を取り、その変容を文献学的に記述していた。2021/09/07