内容説明
流謫、閑遊、老境…。人生の諸相の感慨を寸言に凝縮した名句の宝庫。士大夫の心を現代に読み解く中野版「唐詩百選」。
目次
ああ三春の行楽も（杜牧「遣懐」）
遊侠の少年たち（李白「少年行」・崔国輔「少年行」・王維「少年行」・高適「邯鄲少年行」）
吾ハ愛ス孟夫子（孟浩然「宿建徳江」・李白「贈孟浩然」）
白雲悠々（王維「終南別業」）
閑適幽居の情（韋応物「幽居」「秋夜寄丘二十二員外」）
流謫をたのしむ（柳宗元「渓居」）
夏の昼臥（柳宗元「夏昼偶作」「江雪」）
古来征戦幾人か回る（岑参「磧中作」「逢入京使」「涼州詞」）
人間、到る処青山在り（李白「客中行」「対酒憶賀監」・高適「除夜作」）
夕陽の詩人（李商隠「登楽遊原」「夜雨寄北」）〔ほか〕
感想・レビュー
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宙太郎
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著者75歳の唐詩選。だからか，何せチョイスが渋い。「汲々として出世を望むより，恬淡と人生を楽しもう」といった主題が多く，これには心から同意するし，実際にそんな人生を送った唐詩の作者たちを羨まずにはいられない。李白の酒を歌った一連の作品なんて好きだなぁ。特に「戴老の酒店」の後半なんて傑作だ。ただ，孟浩然「赴京途中遇雪」だけは”詩なんか詠んでる場合じゃないでしょ！早く何とかしないと凍死しちゃうよ‼”とこっちが気が気でなくなってしまう。「春暁」の三好達治氏の和訳も素晴らしかった。いろいろ学べて楽しい一冊でした。2023/02/12
