内容説明
カルチュラル・スタディーズは、今日、社会学、歴史学、メディア研究、地理学、文化人類学、文学研究などさまざまな領域に影響を与えている。本書は、とくに英国でカルチュラル・スタディーズが成立・発展してきた文脈に焦点をあて、わかりやすく解説した入門書である。「カルチュラル・スタディーズとはなんだろう?」と興味をもっている人に、最初に読んでほしい概説書である。
目次
1 基本原理(カルチュラル・スタディーズの概念;カルチュラル・スタディーズ小史―英国的伝統)
2 中心となるカテゴリー(テクストとコンテクスト;オーディエンス;エスノグラフィー・歴史研究・社会学;イデオロギー;ポリティックス)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュミットさん
3
カルチュラル・スタディーズの特徴についての説明として、しばしばその「複数性」が挙げられる。これはまったく学際的な学問分野なのだ。だから本書のような、極めてまっとうな入門書が書かれたということ、それ自体が意義深い。日本の「軽スタ」的概説書など読まなくても、これ一冊で十分。ただし、この本は著者の専門上メディア・スタディーズに主軸を置いたものです。他にも多様な説明ができるのだと思う。2009/05/26
SQT
2
カルスタに足を踏み入れるかもということで。入門という題だけど、そこそこ難しかった。ただ、ホガート→レイモンド・ウィリアムズという大衆文化に価値を見出していく流れ、その文化の「人間的な」ところに重きを置くトムソン、それと対立してメディアとかが発信するコードによって文化が構築されるという立場をとる構造主義者スチュアート・ホール、方法論として文芸批評に由来するテクスト分析からそのテクストが布置される社会のコンテクスト分析あるいはテクスト間の位置である間テクスト分析に至るまで、とかカルスタ史が概観できてお得な一冊2017/03/10
ざっきい
2
社会学、批判理論と隣接している(?)学問分野ということで読んだ本。英国におけるカルチュラルスタディーズ史であり、メディア研究を中心としてイデオロギー、ポストコロニアル、ジェンダー、サバルタン研究について触れている。「ハマータウンの野郎ども」「オリエンタリズム」もこの流れにあり、確かに社会の"自然"を扱うのではなく、"批判"を行っているとわかる。自らの分野に対する批判も取り上げているのが良い。2017/01/10
akuragitatata
2
英国での歴史、と思ってバカにしてはいけません。役者解説では日本での受容にも目配りされていて、浩瀚なな入門書です。開かれた知識であるカルスタには入門以上の秘奥はないから、だから安心して楽しんでってね!2010/05/10
yuki-m
2
英国でのカルチュラル・スタディーズの歴史を通じ、それと関わりの深い様々な学問領域との比較が成されており、入門者から更に深く学びたい人にもお薦め。特にメディア研究について多くの割合が割かれている。2009/09/10