内容説明
日常的な意識としての感覚的確信から出発して時空の全体を見はるかす「絶対知」に至る意識の経験の旅。揺るぎなき理性への信頼と明晰な論理で綴られる壮大な精神のドラマ。
目次
意識
自己意識
理性
精神
宗教
絶対知
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっきー
23
✴2 ゴールデンウィークの6日間で読みたかった、まず章ごとに超解読はじめてのヘーゲル精神現象学を読んであらすじを把握してから読み始める、読むと言ってもザッと飛ばし見するだけ、ゆっくり読んでもどうせ理解できないし、ここにはだいたいこんなこと書いてあるみたいだと読んだ気分になればヨシだ、なぜなら7年前に5,040円もはたいて珍しく書店で買ったのにこのまま読まないのはモッタイナイからだ、ただ7章の宗教は好きな内容なのでいつか理解できるようになりたい2020/05/07
白義
14
ヘーゲルの最高傑作。近代哲学の勃興期にぶちこめるものをありったけぶちこんで世界を捕まえる哲学を構築しようとした厨臭い壮大さが魅力。なんせ、ここにはドン・キホーテもアンティゴネーもロビンソン・クルーソーもみんな精神の展開という形で顔を出している。意識がありとあらゆる変遷をたどりながら無限の絶対知へと進化するド派手なストーリーに自然哲学も歴史哲学も社会哲学も認識論も全て力動的に披露するのでなんだか騙されながらもぐいぐい読まされてしまう。やはりヘーゲルはこれだろう2011/12/04
hitotoseno
10
絶対の学問体系という目標を打ち立てて始められた歩みは、様々な迂路を経た末に絶対知へといたる。しかし全てが終わったわけではない。著者は固着した認識を指弾している。絶対知とて免れられるわけではない。体系内部の至る所で分裂が起き、絶対知はその都度認識を改めながら流転していく物と和解を試みる。叙述は要素を積み上げるだけではなく、今もなお要素達は流動しているのだと訴え続けている。本書は結局、そうした状況を克服するための方法なのだ。自足しながら他へと向かい、絶えず変転する体系の修復作業は、ヘーゲルだけの任務ではない。2012/02/04
さえきかずひこ
9
人間の精神が進歩発展してゆき絶対知(普遍的な知性)になるまでのプロセスを細かに記述していく大著。第7章の宗教には本書の要約的な記述があるので、そこを読むことでもかなり本の概要がつかめることと思う。第6章、7章、8章がとても面白い!!副読本としては『ヘーゲル「精神現象学」入門』(講談社学術文庫)をオススメします。2017/03/22
グスタフ
9
訳者は、この本「思考の暴走」に譬える。その暴走を追っかけているうちに、絶対精神の玉座というとんでもなく遠く高いところまで、たどり着いてしまった。ただし、途中で、ヘーゲルの暴走がどこを通っているのか、見失ってしまうところも多く、いろいろ探索し、道を戻りながら進んだため、読み終わるまで2か月近くを費やした。知と対象のずれをばねにした運動が、暴走の活力になるのだが、読者として、何か確固とした真理をそこに求めようとするのではなく、その運動にのっかっていくことができれば、そのドライブ感の心地よさは他に類がない。 2013/05/26
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- 和書
- 憤怒 〈上〉 講談社文庫