内容説明
韓国・釜山の一角に位置し、日本の植民地時代の遊廓を起源とする国内最大規模の性売買集結地、俗称・玩月洞。著者は玩月洞を拠点に、性売買業者の不当な搾取と抑圧に苦しむ女性たちへの支援活動を行ってきた。そのリアルな記録から、ないがしろにされる女性の人権を考える。
目次
第一章 サルリム―生き残り、人を生かす(初めてのサルリムを生きる;「サルリム」だけの空間で繰り広げられたこと ほか)
第二章 玩月洞と向き合う(朝鮮半島最初の遊廓、東洋最大の性売買集結地;真っ赤な灯りとウェディングドレス ほか)
第三章 烙印―偏見と正面から闘う(烙印が看板を変える;性売買店で「働いて」いたという理由で「強制的に」離婚され、娘とは生き別れ ほか)
第四章 価値と情熱の持ち主たち(「性売買女性」と「マダム」との境界;前払金、便法と不法とのあいだ ほか)
著者等紹介
チョン・キョンスク[チョンキョンスク]
韓国釜山の女性人権支援センター「サルリム」初代所長。慶尚南道巨済島で五女一男の末っ子として生まれる。二十代の頃は生きる道を探して迷い続けたが、二十代後半に女性学に出会ったことで、その後、釜山で性暴力、DV、性売買の分野で現場活動家として働くようになった。この経験をもとに同僚たちとともに、玩月洞性売買集結地の近くに「サルリム」を設立し、初代所長をつとめた。性売買の現場に飛び込み、性売買女性の信頼を得ながら支援する活動に全力を注いできた。現在、釜山広域市女性暴力防止総合支援センターセンター長、釜山国際映画非常任理事を務めている
金富子[キムプジャ]
植民地朝鮮/現代韓国ジェンダー史研究。東京外国語大学名誉教授
中野宣子[ナカノノリコ]
韓国語・朝鮮語翻訳者、講師。1987年6月から88年8月まで韓国延世大学校韓国語学堂に語学留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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