出版社内容情報
血液製剤によるエイズ感染。その責任追及は安部医師に集中し、業務上過失致死罪で起訴されたが、メディアの予想に反して無罪となった。無罪判決の概要と「薬害エイズ事件」の真相に迫り、なぜ無罪になったかを浮き彫りにする。
はじめに
第1部 安部医師無罪判決の衝撃――マスメディアの予想外報道
第1章 メディアの作り出した虚像とバッシング
第2章 「薬害エイズ」問題と安部英医師をめぐる動き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だまし売りNo
16
薬害は一生涯続く。薬害被害者は健康被害に加えて、人権侵害や生きがいや将来展望の喪失という問題も抱える。日本は「個人で勝手に頑張ってください」と個人の前向きな頑張りに押し付ける傾向があることが問題である。 2021/10/24
ねええちゃんvol.2
4
★★★★ 和田秀樹氏のオススメ。当時のマスコミは、血友病の病状と治療の現実を理解せずに、ただ誰かを犯人にしたかった。他の国ではこんな流れにはならず、将来のための調査が行われていた。加熱製剤はB型肝炎への感染を減らす目的で開発されていた。・・・イレッサの問題も同じように感じた。多くの人はその薬のおかげで助かっているのに、責任追及に夢中になる。2011/12/24
びわまる
3
安部先生がいかに、血友病患者のQOLを高めるため保つために、献身的な研究や治療や活動をなさったかを知った。それと同時にこの本は、検察や裁判やマスコミや、行政や医療には、あまりにも問題が多く、しかも事の本質が改善されないまま、その頃から今まで来てしまっているということが、論理的にわかりやすく、書かれていたと思います。当時私は、安部先生だけを人身御供にしてバッシングする報道を見て、彼は社会的地位を利用した悪人だと思い込んだ。今更遅いかもしれないけれど、天国の安部先生に心からお詫びしたいと思います。2010/11/20
Miho Haruke
1
櫻井よしこの本に続けて読む。なぜ我々は責任者を求めるのか? マスコミのせいなのか? いやしくも法学部卒であるのに、当時の検察の手法に疑問をもたなかった自分を反省した。確かに安部医師は無罪である。しかし患者と家族の悲憤を思うとき、いつも読む「森永ドライミルク事件」の徳島地裁判決(昭和38.10.25)追記を再読する。平明・論理的ながらなお「男性同性愛者と薬物中毒者は血友病患者と区別されて仕方ない」という論調が見られるのは残念至極。櫻井よしこが自著を絶版のままにしている姿勢を問わずにはいられない。2015/05/17
emi
1
和田秀樹さんのブログ記事で知り、購入した本。amazonレビューなどを見て、これまでの私の薬害エイズに対するイメージが変わるだろうと思いながら、出来る限り先入観がないように読んだつもり。この問題に関して本を読むのは初めて。事件の本質は何なのか?この本だけで判断したくない。逆の視点や川田龍平さんの本なども読んでみたいと思う。同じ事を繰り返さないために何をなすべきか考えたい。しかし、皆が同じ正義感を持つ危険、対象となる悪が必要となるのだと感じた。感情的に善悪を考えるのであれば、悪の存在が必ず必要になってくる。2011/09/30