難民認定実務マニュアル

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  • サイズ A5判/ページ数 277p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784877982881
  • NDC分類 369.38
  • Cコード C2032

出版社内容情報

法制度も大きく変わり、難民申請者が増加するなかで、実務家やNGOが難民認定をどのようにサポートできるのか。具体的な手続に添って詳解する。

第1章 日本の難民認定手続の概要
1 難民条約と日本の難民認定制度
2 2005年施行改正後の日本の難民認定制度
第2章 難民の定義・難民該当性判断の方法
1 難民の定義
2 難民該当性判断の方法
3 補完的保護と在留特別許可
第3章 難民認定申請
1 受任・申請に向けての準備
2 難民認定申請手続
3 申請後の審査手続と申請者側の主張・立証活動
1 申請後の具体的審査手続
4 難民認定手続における第一次処分(認定・不認定)
第4章 異議申立
1 異議申立制度の概観
2 異議申立手続における代理人活動の概要
3 異議申立段階の主張・立証の準備
4 異議申立段階の具体的主張・立証方法
5 口頭意見陳述と審尋
6 異議段階の難民調査官による調査
第5章 難民申請者の法的地位
1 上陸許可
2 上陸後の法的地位
第6章 難民認定、在留資格にかかる許可、難民認定の取消
1 難民認定とその効果
2 在留資格に係る許可
3 難民認定の取消
第7章 難民関係訴訟
1 難民認定手続に関する訴訟
2 取消訴訟以外の訴訟手続
3 在留に関する訴訟
4 執行停止
第8章 資料
1 難民認定・不認定事例
2 難民関係裁判例
3 難民関係書式例
4 参考文献・ウェブサイト
5 関係団体等一覧

はじめに
 本書は、2005年5月に施行された出入国管理及び難民認定法の難民認定手続に関する改正を受けて、日本弁護士連合会人権擁護委員会に設置された難民認定問題調査研究委員会の委員によって執筆された実務マニュアルである。
 今からちょうど四半世紀前の1981年、日本は、難民の地位に関する条約に加入し、これに伴って出入国管理及び難民認定法に難民認定手続を規定した。しかし、日本の難民認定手続は、出入国管理も担当する法務省がこれを所管しているために出入国管理行政から独立していない、申請中の法的地位が不安定で収容の危険にさらされているなどの国際的な批判を浴びてきた。難民認定数も、インドシナ難民を受け入れていた時期以降は、1名または数名という年が続いていた。
 その後、諸外国の情勢の変化や難民申請者の法的援助に取り組む若手弁護士が増えたこともあり、1998年以降は難民認定数が十数名を数えるようになったものの、なお制度上及び運用上の問題点は多く、日弁連も、2002年11月に「難民認定手続等の改善に向けての意見書」を発表するなどして制度改善への提言を行ってきた。
 このこともあって、2005年5月に出入国管理及び難民認定法の改正が施行され、難民申請者の仮滞在制度の創設、不服申立手続における難民審査参与員の関与などの制度改正がなされた。改正は、日弁連の意見書からすればなお不十分な内容のものではあるが、2005年の難民認定数が46名と前年の3倍を数える結果となったことは、難民認定手続が新たな段階を迎えたことを示すものである。
 本書は、法改正後の新たな段階の難民認定実務について、難民申請者の援助に精通した、トップランナーともいうべき弁護士たちが作成したもので、現在の最新かつ最高の実務水準を示すものであると自負している。
 本書が、難民認定申請を法的側面から援助する弁護士や、生活面などでも援助を行うNGO関係者、外国人の相談に関わる行政関係者など、難民申請者の支援に関わるすべての人々への有力な武器として役に立つことを祈念するものである。
2006年6月
日本弁護士連合会人権擁護委員会
委員長 金子武嗣

目次

第1章 日本の難民認定手続の概要
第2章 難民の定義・難民該当性判断の方法
第3章 難民認定申請
第4章 異議申立
第5章 難民申請者の法的地位
第6章 難民認定、在留資格にかかる許可、難民認定の取消
第7章 難民関係訴訟
第8章 資料