コンメンタール公判前整理手続

コンメンタール公判前整理手続

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  • サイズ A5判/ページ数 236p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784877982720
  • NDC分類 327.64
  • Cコード C2032

出版社内容情報

公判前整理手続は、実務に大きな影響を及ぼすことが予想される。本書は、公判前整理手続およびそれに密接に関連する条文について、弁護人の視点から注釈する。

本コンメンタールを編むにあたって 

序 説
 Ⅰ 公判前整理手続の目的と機能
  1 公判前整理手続の趣旨・目的と方法 
  2 「充実した公判審理」
  3 整理すべき「争点」
  4 整理すべき「証拠」
  5 準備手続との異同
  6 民事における「争点及び証拠の整理手続」との違い
 Ⅱ 予断排除の原則との関係
 Ⅲ 裁判官と裁判員間の情報格差
 Ⅳ 公開の裁判と公判前整理手続
  1 公開の可否
  2 密室化する裁判
  3 運用上の注意点
 Ⅴ 証拠開示と予定主張明示
  1 証拠開示
  2 予定主張明示
   公判前整理手続の概略
  1 法の構成
  2 第1款
  3 第2款
  4 第3款

コンメンタール編
第1款 公判前整理手続
 第1目 通則
 前注
 316条の2(手続に付する決定、手続の方法)
 316条の3(裁判所、訴訟関係人の義務)
 316条の4(必要的弁護)
 316条の5(公判前整理手続で行う事項)
 316条の6(公判前整理手続期日の指定等)
 316条の7(公判前整理手続期日の実施要件)
 316条の8(職権による弁護人選任)
 316条の9(被告人の出頭)
 316条の10(被告人への質問等)
 316条の11(受命裁判官
 316条の12(裁判所書記官の立会・調書作成など)
 
 第2目 争点及び証拠の整理
 前注
 316条の13(証明予定事実記載書面等)
 316条の14(検察官請求証拠等の開示)
 316条の15(類型証拠開示)
 316条の16(被告人側の証拠意見)
 316条の17(被告人側の予定主張の明示等)
 316条の18(被告人側の請求証拠等開示)
 316条の19(検察官の証拠意見)
 316条の20(主張関連証拠開示)
 316条の21(検察官の証拠追加・変更)
 316条の22(被告人側の主張追加・変更) 
 316条の23(証人等の保護のための配慮規定の準用)
 316条の24(争点及び証拠の整理結果確認)

 第3目 証拠開示に関する裁定
 前注 裁定制度の概要
 316条の25(開示義務者からの裁定請求)
 316条の26(開示請求権者からの裁定請求)
 316条の27(裁定のための提示命令等)

第2款 期日間整理手続
 316条の28(期日間整理手続)
第3款 公判手続の特例
 前注 公判手続の特例の概要
 316条の29(必要的弁護)
 316条の30(被告人側の冒頭陳述)
 316条の31(公判前整理手続結果の顕出)
 316条の32(証拠調べ請求の制限)

 参考文献 

◎本コンメンタールを編むにあたって

 2004年5月、第159国会において成立した「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」、および「刑事訴訟法の一部を改正する法律」(改正刑事訴訟法)は、「総合法律支援法」を加えて、戦後60年におよぶ刑事裁判に極めて大きな変化をもたらす。
 裁判員裁判は、これまで職業裁判官によって担われてきた刑事裁判に市民が参加するだけではない。これまで職業裁判官のもとで長年にわたって定着してきた「調書裁判」や「精密司法」に根本的な変革をもたらす可能性がある。たんなる題目に堕していた直接主義・口頭主義を復活させる可能性が十分にあるのである。
 しかし、新たな法律と制度ができただけで刑事裁判がよくなるわけではない。訴訟関係人が憲法の理念と近代刑事裁判の理想を新しい制度に注ぎこむことによって、初めて制度は正しく機能するのである。
 われわれは、現行刑事訴訟法が新たな憲法のもとで出発したにもかかわらず、ついには「わが国の刑事被告人は裁判官による裁判を本当に受けているのか」と問わねばならない状況にまで至らしめた経験を持つ。捜査、訴追及び裁判がこのような状況になってしまったことの責任を裁判官や検察庁に押しつけることはたやすい。しかし、多くの弁護人が、憲法と刑事訴訟法の理念とその規定を正しく理解し、日々の弁護活動にあたって、被疑者・被告人のために熱意を込めて誠実に弁護活動を実践してきたのであれば、これほどまでに刑事裁判が困難なものとはなってこなかったであろう。責任の一端は弁護士にもあった。
 きたるべき裁判員制度の開始とこのたびの改正刑事訴訟法の施行にあたっても、裁判員裁判のもつ意義と改正刑事訴訟法を正しく読み取ることを誤ると、ふたたび同じ誤ちを繰り返すことになる。裁判が無罪の発見のためではなく、効率と迅速の要請のみに流されると、せっかく市民が参加する裁判員裁判が始まったのに、刑事裁判は更に悪化する危険すらある。新たな制度のもとでの弁護活動にあたって同じ誤ちを繰り返してはならない。
 そのためにも、被疑者・被告人の権利と利益を護るべき責務を有している弁護人の観点から、裁判員法および改正刑事訴訟法の注釈書を作成する必要がある。そのうち、改正刑事訴訟法の施行が先行される。とりわけ、新たに設けられた公判前整理手続及び期日間整理手続は、実務に大きな影響を及ぼすことが予想される。そこで、公判前整理手続およびそれに密接に関連する条文について注釈を試みることにした。
 各条文の注釈にあたってつぎの諸点に留意した。
 まず第一に、無辜の不処罰が貫かれうるか、という観点であらゆる条文を見るようにした。
 第二に、憲法上の被告人の権利からの視点を忘れないようにした。
 第三に、被告人の権利と利益を誠実に守るべき憲法上の責務を有する弁護人の視点から条文を見直した。
 第四に、立法経過にも目を配った。

 それが成功しているか否かは読者の批判にゆだねるしかない。

執筆者一同

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