出版社内容情報
イラクで拘束された記者の報告。武装グループとのやり取りで知る、イラク人の思い。戦闘が続く中での人々の生活を取材したジャーナリストの渾身の一冊。
"第一章 拘束の三日間
拘束
なぜファルージャなのか
「ナホコは戻ってくるのか?」
避難住民
情勢
経路
地域ぐるみ
農村
暇つぶし
引渡し
スパイ容疑その1
スパイ容疑その2
開放
第二章 イラク取材のために新聞社を辞めた
「取り上げる意味がない」
第三章 戦火の爪痕
「盾」に紛れ込む
空爆下の向こうとこちら
市民の暮らしは続く
血と膿のにおいの中で
アリババの街
コントラスト
ザフェルさんに再会する
米軍占領の街へ
略奪の街を歩く
""地雷原""
ヨルダンの空爆爆発事件
「米軍歓迎」、その心は
第四章 混迷の「戦後復興」
戦慄の掃討作戦
アリの死
ピンポイントの「周辺」
父の教え
巻き込まれる市民
障害者施設とイラク経済
""でんき""に見るイラク その1
""でんき""に見るイラク その2
空手の心
彷彿
現場がよんでいる―あとがきにかえて
行かせない書かせない
関係ないし関心がない
現場に行くために記者をやめた
市民団体に混じって現場へ
"
イラクの武装組織に拘束され、帰国したときに驚いたのは「被害者」と呼ばれていることだった。「自衛隊派遣が原因でひどい目にあった」と同情されたり、「自業自得」と笑われたりと、世間の反応はさまざまである。
しかし、当の本人に「被害者」という意識はない。ああいった地域へ行く以上は拘束もありうることと最初から承知しているし、彼らを「犯人」とも思っていない。拘束を避けられるならば避けたいが、避けられなかったとしても彼らにうらみはない。虎の生態と生息環境を観察しようと虎の穴に乗り込んで噛みつかれても、虎をうらんでも仕方がない。
私は彼らの声を伝えたいと思っているだけだ。武装組織だけでなく、イラクで出会った多くの人々の姿を知ってほしいと思う。人為的につくられた厳しい状況の中で、それでもしぶとく生きる魅力ある人々だ。
まったく想定できていなかったのだが、今回の拘束については、社会的な影響が大きかったという点で責任が生じた。さまざまなかたちでこれを負わなければならないが、まずは事実を報告することがその一部を果たすことになると考えた。本書はその試みである。
感想・レビュー
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どりたま
unpyou
ささらもさら