出版社内容情報
刑事法の根幹にかかわる重要テーマ――無罪推定、黙秘権、共同共謀正犯、犯罪報道、少年法――を選んで、そこから、刑事法の性格や考え方、原理・原則を学ぶ入門講座。
第1講 開講にあたって
1. はじめに
2. 「刑事法」への「招待」
3. 刑事法を学ぶ面白さ
4. 各回の講義の構成など
第2講 無罪の推定――裁判所での審理手続きにおける無罪推定
1. はじめに――無罪の推定とは
2. 証明と無罪推定原則
3. 挙証責任の転換――無罪推定原則の例外
4. 事実認定の実際
第3講 無罪の推定――手続上の負担に関する無罪推定
1. 手続上の負担と無罪推定原則との関係
2. 身体拘束
2-1 身体拘束の手続きの概要
2-2 要件
2-3 運用
2-4 処遇
3. 没収・追徴の保全命令
4. 「無罪の推定」の講義のおわりに
第4講 黙秘権――存在理由と基本的内容
1. はじめに
2. 黙秘権の存在理由
2-1 問題の所在
2-2 存在理由の検討
3. 黙秘権の基本的な内容
3-1 黙秘しうる事実――氏名
3-2 黙秘権行使の効果
第5講 黙秘権――実質的保障のための措置、行政上の報告義務、否認など
1. 黙秘権の実質的保障のための措置
1-1 黙秘権の告知
1-2 被疑者取調べへの弁護人の立会い
1-3 取調べ受忍義務の否定
2. 行政法上の報告義務・使用免責
2-1 行政法上の報る利益の調整
4-1 基本的な視点
4-2 匿名報道主義への批判とその当否
4-3 匿名報道主義の例外
5. 報道被害の是正措置
5-1 刑事法上の措置
5-2 民事法上の措置
5-3 その他の措置
6. おわりに
第8講 少年法――1948年少年法の内容
1. はじめに
2. 1948年法の基本的な仕組み
2-1 法の目的・理念
2-2 対象少年
2-3 非行の発見
2-4 家裁受理から処分決定までの手続き
2-5 家裁の決定
2-6 不服申立て
2-7 少年事件に関する報道の制限
3. 1948年法への若干のコメント
3-1 少年法の性格
3-2 捜査
4. おわりに
第9講 少年法――改正少年法の内容と問題点
1. はじめに
2. 改正の背景
2-1 家裁裁判官が直面する審理の困難さ
2-2 少年非行の凶悪化・低年齢化の主張
2-3 被害者およびその家族の利益保護
3. 改正法成立の経緯と改正法の内容
3-1 改正法の成立の経緯
3-2 改正法の内容
4. 改正法の運用状況
4-1 厳罰化
4-2 事実認定手続き関連
4-3 被害者等への配慮措置
第10講 少年法――改正少年法の内容と問題点
1. 少への評価
5. おわりに
まえがき──本書を手にとってくださったみなさんへ
新聞の社会面には、毎日犯罪の記事がいくつも掲載されています。テレビのニュース番組でも、犯罪に関する報道のない日はありません。また、書店にいけば多くの書架が推理小説で占められており、家でテレビをつければ毎日のようにサスペンス・ドラマが放映されています。仮想のものまで含めれば、私たちは犯罪に囲まれて生活している、といってもよいでしょう。
しかし、犯罪がそれほどまでに身近な存在であるにもかかわらず、現実の犯罪がこの社会で処理されていく仕組みやその実態について、私たちが学ぶ機会はほとんどありません。高校までの正規のカリキュラムには組み込まれていませんし、各種の広報誌などに詳しい解説が出ていることもありません。たしかに、刑事事件の公判審理に関する報道のなかで、どのような手続きに則って審理が行われているのかを記者が解説することはままあります。しかし、その解説の大半は断片的・表面的なもので、なぜそのような手続きが行われるのか、その手続きを支える理念は何か、理念に照らして現実の手続きに問題はないのかといった点を、私たちに示してくれるようなものではありません。
この
内容説明
本書は、犯罪と刑罰に関する法(刑事法)の入門講座です。無罪の推定、黙秘権など、みなさんにも比較的馴染みのありそうな重要項目を採り上げ、法の理念や運用などを解説していきます。
目次
開講にあたって
無罪の確定(裁判所での審理手続きにおける無罪推定;手続上の負担に関する無罪推定)
黙秘権(存在理由と基本的内容;実質的保障のための措置、行政上の報告義務、否認など)
共謀共同正犯
犯罪報道
少年法(1948年少年法の内容;改正少年法の内容と問題点)
講座を終えるにあたって
著者等紹介
三島聡[ミシマサトシ]
大阪市立大学法学部助教授。北海道生まれ。1986年一橋大学法学部卒業。1990~1992年第44期司法修習生。1995年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位修得退学。同年より現職
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