内部告発の力 - 公益通報者保護法は何を守るのか

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内部告発の力 - 公益通報者保護法は何を守るのか

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  • サイズ B6判/ページ数 270p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784877982010
  • NDC分類 335.13
  • Cコード C0036

出版社内容情報

雪印事件などで脚光を浴びた内部告発。米英では告発者を守るシステムが進む中、日本では法律も未整備だ。国内外の事例・制度を紹介し、内部告発者保護の真髄と必要性を説く

内部告発の力・公益通報者保護法は何を守るのか
まえがき    

第1部 事件の発覚は内部告発

1 三菱自動車工業クレーム隠し事件・長年の悪習、見破る方法、電話で指南

隠蔽の始まり/PとHの二重管理/官辺対応マニュアル/内告者の電話/Aシフト
監査着手/ロッカー室で/とにかく乗り切ってくれ/不整合の追及
うまいウソはないか/シュレッダー/徹夜明けの洗顔/切り札/東芝への依頼
救急車/信頼喪失と罰金刑

2 社会保険事務局と健保組合幹部の癒着事件・「打ち首」の宣告   

七枚の便箋/まるで創業者のように/「ペナルティー」の宣告/けんか両成敗?
「もっと早く知らせるべきだった」/大臣に三通の手紙/官と民の癒着
ご高配、ご厚情/本人聴取のない内部調査/新聞社への手紙
厚労省に埋もれていた二通の手紙/感謝と非難/新聞とテレビで報道/悔しさやまず
3 東京電力原子力発電所ひび割れ隠し事件・カリフォルニアから届いたデータシート   

エアメール/申告調査委員会/解雇満二年その日に/三本か六本か/二一年遅れ
GEに直接確認へ/提出差し止め/押し問答事件◎   
自白/合併による拡大/統治の不備を突いて/内部監査を続行する
一筋の救いがあった/職を失うリスク
◎FBIの失態◎  
本部と支局/捜査は妨害された/ことなかれ主義/史上初の快挙
◎国家の敵と闘った彼女たち◎
称賛の声が続々と/タイム誌の年末恒例

第2部 内部告発者保護の制度と思想  

7 アメリカの政府による内部告発者保護・仕組みの模索と進化   

◎ホイッスルブロワー保護法◎
特別顧問局からの招待状/大統領に直属した独立機関/どのような情報開示も
OSCの調査/強制調査権を背景に/和解と提訴、救済措置/情報分析のプロとは
国境パトロールの欠陥/安全な内部告発窓口/空母カタパルトに溶接不良
連邦巡回区控訴裁判所/セキュリティ・クリアランス/低い認知度
少ないスタッフ/さらなる改正を求めて
◎職業安全衛生法から企業会計改革法まで◎
プログラム/労災防止から投資家保護へ/パッチワーク
労働省OSHAの調査/仮命令が最終命令になるまで/海軍造船所の鉛漏出
企業会計分野の新たな任務
◎不正請求防止法、内部告発者への報償金◎
br>みじめな一匹狼?/事故を教訓に/説得された保守党/ブレア政権が後押し
◎保護される公益開示とは◎   
なにを開示すべきか/だれに開示すべきか/どう保護されるのか
◎新聞に載った首相への公開状◎  
年明けの投書/戒告処分/「投書は不合理とは言えない」/公益開示法、三年間の運用
◎広がる内部告発ポリシー◎   
三年半ぶりの復職/「自分に満足」/オープンな職場へ/当局が行政指導に/労働者への信頼示す
◎できるだけ早く相談を◎  
一〇年に三五〇〇件/企業の研修で講師役/デン弁護士

 日本は公益通報者保護法案へ・何を守るのか、何が議論されたのか    

◎七〇年代に現れ、定着へ◎   
初めて見出しに/反戦自衛官に「収容所列島」/ロッキード事件
調査報道の起爆剤、推進剤に/労働者、民衆の側から/低調だった八〇年代、九〇年代
◎統治、法令順守、リスク管理◎  
食品メーカーで/財界団体も呼びかけて/行政機関でも/全国初の条例制定
不祥事の続発で
◎立法化への論議◎  
労働関連個別法/児童虐待、談合/公務員倫理法への議論/腐敗対策アクションプラン

 そのとき、三菱自動車工業の社内には、隠蔽工作の一端を直に知る従業員が少なくとも一〇〇人はいた。欠陥車の存在が公にならないようにする目的で、クレーム情報の隠蔽は二〇年以上、異動や退職で人が入れ替わっても変わることなく延々と引き継がれ、続けられてきた。
 これだけ多くの人が関与し、これだけの長期にわたり、なぜ、人の命を危険にさらす犯罪行為を彼らは遂行できたのか。常識ある社会人であるはずの彼らを何がそうさせたのか。反社会的集団ではないはずの三菱自動車という組織のどこにどんな欠陥があったのか。私たちは考え込まざるをえない。
 もし内部告発がなければ、三菱自動車の不正はその後も、それまで通り続いていただろう。「その情報提供がなかったらどうなんだと言われたら、その通りと、当時の状態としてはいえると思います」。国土交通副大臣は後に国会でそう答弁している。匿名の男による内部告発が、私たちの命への危険をいくぶんか減らしたという事実を私たちは認めざるをえない。
 二〇〇二年、一月に雪印食品の牛肉偽装事件が、二月に、外務省と鈴木宗男衆院議員の異常な関係が、そして八月に東京電力の原子力発電所ひび割れ隠しが、いずれも内部告発でなければならない現実であり、押しとどめようのない潮流であるのだろうと私は感じる。
 と同時に、私は、組織と個人のあるべき関係を改めて見直す契機であると、この潮流をとらえたいと思う。私たちは、個人の尊厳、個人の良心を守り、もし違法な命令があれば、それを断固として拒否し、不正には協力せず、時代の変化に耐える行動をとりたい。組織への抗命、組織の外への内部告発が尊重されなければならない局面が場合によってはありうるということを私たちは知っておくべきだと私は思う。
 内部告発を生かすことのできない組織や社会は、不正を温存して、より悪化させ、個を圧殺して、ついには自滅へと至るのであり、内部告発者を守るということは結局、その組織や社会を守ることにもなり、個人を尊重することにもつながる・・。正当な内部告発者を不利益扱いから守ろうという公益通報者保護法案が日本政府から提案されることになった背景には、二一世紀初頭の日本社会がたどりついた、そうした現状認識がある。
 異端者として弾圧するのをやめて、内部告発者を正義の守護者として保護しようという発想の転換はどのようにして社会におこるのか。内部告発はどのように扱われ、どのような効

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