内容説明
お山のうえのおじいさまに感謝をする、はたらきものばかりの平和なりんごの村。ある日、わかものたちが、ひそひそとはなしをしています。信じる心をなくした村びとたちは…?「りんごの村」「二つの自動車」「ふるぐつホテル」の3篇を収録。
著者等紹介
小出正吾[コイデショウゴ]
1897年静岡・三島に生まれる。中学時代に受洗しキリスト教信者となる。早稲田大学商学部卒業。元明治学院高等学部社会事業科教授。日本児童文学者協会会長、日本児童文芸家協会顧問、アジア・アフリカ作家日本委員会会員を歴任。戦後、東京より出生地へ戻り、三島市教育委員長を務める。生涯で一五〇冊以上の著作や翻訳を行う。1990年に永眠
河野鷹思[コウノタカシ]
1906年東京・神田に生まれる。東京美術学校図按科卒業。松竹キネマ宣伝部に入社し、映画広告や美術を担当。1936年に独立し、広告、装幀、雑誌表紙、挿絵、映画美術、舞台装置等を手がけ、戦時中はジャワに徴用。日本宣伝美術会創立委員、「グラフィック‘55展」に参加、綜合デザイン事務所デスカ設立。世界デザイン会議実行委員、大阪万博日本館展示設計、札幌冬季五輪ポスターのデザインを手掛ける。女子美術大学教授、愛知県立芸術大学学長、日本人初の英国王立芸術協会員。1986年に東京ADC「Hall of Fame」選出。1999年に永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とよぽん
46
こいでしょうご(小出正吾)さん、というお名前が懐かしかった。50年以上も前だったか、小学校低学年の私は、翻訳童話の最後にお名前を見て(平仮名表記だったので)これで正午?と変な疑問をもってしまった記憶とともに。それが懐かしく、この復刊された「りんごの村」を初めて読んだ。3篇のどれもが温かいヒューマニズムを感じさせ、小出さんの品格が漂う良書だと思った。表紙の赤いりんごが児童書ぽくない印象で、私は物語の品格と合致していると感じた。2024/02/25
Kesera
1
帯にあるような「心をはぐくむおはなし」には正直なってないかなーと思った。こういってしまうとなんだけど、宗教系の喩え話って、どの宗教もあんまり上手じゃないなって思う。神様という絶対的視点で善悪や因果を説いてしまうところに、人間としての本質や世界の不条理を全部おまかせして、都合よくごまかしている感があるから。ただ時代的にはまだ宗教的童話が一般的に成立したのかなとは思う。出版年がナルニアと同じだし。2024/02/13
未熟図書館員つづら
0
「のろまなローラー」の作者の幼年童話。挿絵の位置がわかりにくい。(印刷の都合?)表題の「りんごの村」は教訓話。やや宗教的。個人的には、「ふるぐつホテル」が一番ほっこりして好き。復刊なので文章に年代を感じる。2025/02/17