内容説明
医療の枠を越えて問いかける、“いのち”というフィロソフィー。医師・稲葉俊郎が描く、新しい世界を生きるためにこれから必要な医療の場をともに創造する。
目次
序章 病院とは、医療とは(病院との関係性;医療に求められるもの)
第1章 健康になれる場所とは(医療の枠を取り払う;健康学という視点 ほか)
第2章 新しい医療の場とは(安らかな場を求めて;感覚を開き、ずれを感じる ほか)
第3章 これからの社会に必要なものとは(「場の倫理」と「個の倫理」の両立;わたしとあなた 存在を肯定する対話 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キヌモ
6
「いのちを呼びさますもの」の続編です。人の命を救いたいということで医者になったひとも多いと思います。しかし今は「人の病気」のほうに目線が行ってしまっています。そのことを筆者はとても憂慮していると思う。本当に救いたいのは「その人の命」なんだと。人の心、体、そして命を全体として救いたいのだ。医療だけでなく社会全体として関わっていかないといけない課題なのだというふうに読みました。2021/07/01
Kyohei Matsumoto
6
熊本出身の医師。考え方が非常に似ている。次の医療のかたち、場ということを中心に書かれたとのこと。僕は医療に哲学カフェを導入しようと考えているが、考え方が非常に近い。おそらくこの本を読んでもらえば僕がやりたいことの意義も伝わるなと思いながら読んだ。医療はあまりにも科学的で資本主義的になりすぎていると思う。そしてそれは医療をその本質から遠ざけると思う。芸術と医療がつながらない。今の医療現場。正直寂しいと思うし、仕事が退屈になってきている。退屈を打ち壊すために動きたい。2021/04/30
Marie
4
赤い本と青い本を買って、青い本から読み始めてしまったので、赤い本の後に再読せねば。「からだ」と「こころ」の感受性に必要なのは「育てる」という感覚。「変わる」のを待つのも大切。美術の役割。「場の倫理」と「個の倫理」の両立。「私の存在も、あなたの存在も肯定する」エリック・バーン「I'm OK. You're OK」自己肯定と他者肯定の両立。「中動態」という概念。「能動態/中動態」は行為を自分の「外側/内側」で区別する。自分の「内側」を起点とする「中動態」状態が「個」の持つ固有の居場所「いのち」の場所になる。2021/11/27
yuko
2
「いのちはのちのいのちへ、のちのちのいのちへとかけられた働きに生かさるる」の句から引用したというタイトル。命は所有するものではなく、生命史がこれだけ続いたという人間のコントロールを越えた摂理。歴史上、誰一人として同じ人間は存在しない。体の約60兆個に及ぶ細胞が臓器や器官をつくり、多様性が調和し、協力しながら全体性をつくり上げる。私たちのお手本は、常にこの命そのものから無限にくみ取ることができる。大事なことは「つながっている」事実より「つながり方」。「病気学」だけではなく、自分自身の身体感覚や感受性が大切。2020/09/18
K
1
(2020,490.4)何かでいいと言っていたので取り寄せ。最近養生に魅惑されているため、おなじ分野では!と読みながらうれしくなる。温泉、寺、神社、なになに私の好きなものばかり!とか、医師免許がなくても心地よく生きるために集う場、そうそう私も興味あるよ!といちいち首肯しつつ読む。そして案外若い著者だということに驚く。ただし後半だれた、なぜか。中動態ってそういうことだっけ?とか、SDGsの長ったらしい解説とか。う~ん何か惜しいものを見たような。前半のつかみがよすぎて。2022/04/20
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- 和書
- リーシーの物語 〈上〉