内容説明
未知なる国へ、未知なる自分へ。小冊子「murren」編集・発行人、若菜晃子『街と山のあいだ』に続く待望の随筆集。
目次
旅の夜
メキシコ断簡
海の旅
人々の街角
英国、裏庭の冒険
地中海の島キプロス
土産ばなし
インドのおじさん
サハリン点描
インドネシア・スマトラの雨
花のスリランカ
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
67
本書は著者の若菜さんが海外旅行へ行ったときの話をまとめた紀行文になる。ただしただの紀行文ではない。観光客がほとんど来ないような場所を巡る話である。日本の観光客はおろか、自国の観光客さえいないような場所である。そんな場所を訪れ、地元の人と交流し、自然と触れ合う。異国の知らない土地にもかかわらず、本書の文章の話はどこか懐かしい。田舎の祖父母との思い出にも思えるような作品であった。2024/08/21
pohcho
60
若菜さん二冊目。タイトル通り、いろんな旅の断片を集めた本。「コルテス海にて」のサボテンの話にとても心打たれた。 砂漠で一本一本独立して、大きく立派に生きるサボテン。自分の力でまっすぐに強く生きること。誰のためにとか、なんのためにとかではなく、過酷な自然条件のもと、いろいろな形になっても必死に生きること。それぞれの姿に味があり、個性があっておかしみがある。自分もまたそのように生きたいなと思う。旅の道連れであるご主人の、クワ王様の話も可愛かった。2023/02/21
ゆみのすけ
29
インドネシア、スリランカ、インド、メキシコ、イギリス、ポルトガルなど様々な地域を旅した著者がそこでの出会い、思いを綴ったエッセイ。運転手とのやりとり、美しい刺繍のハンカチ、街中でのメニューがない地元の屋台での出来事、インドで出会った僧侶など、旅の断片が数ページにまとめられている。その土地の匂い、静けさ、空気が漂うようなエッセイだった。2024/03/24
ケイティ
29
読書メーターで出会えた一冊。元『山と渓谷』編集の方ですが、仕事モードにならないので、と海がある旅先が多い。紀行文というより旅日記の断片のようで、その時の心の動き、感じたことを通して見た光景の散文かな。印象的だったのが、機内の上から見た海で自分の存在の何てことなさを悟る「コルテス海にて」。心に留めておきたい内容でした。文章やトーン、感性が好みで、とても心に残る一冊です。旅行に行くリズムを失っていたけど、また海外に行きたいという気持ちになれました。読んでよかった。2021/11/10
KAZUKO
17
これは城崎温泉の短編喫茶で読んだ本です。私自身が旅先で読んだというのもあり「旅とはこういうものだよなぁ」と感動いたしました。 何気ない街並み。旅先の土地に住んでる人たちとの会話。それがとても自然体でなにげなくて心地よかったのです。 何もない。それでも。生きてる。 【砂漠にこんな小さい花が咲いているなんて旅してみなければわからなかった。私はそれをわかっていたい】抜粋 忙しい日常では気づかなかった気持ちに、旅先で気づいてそっと立ち止まる。 そんな本当に何気ない旅のお話。2022/05/30