内容説明
大きな森のおくに住むひとりぼっちのキツネ。まっくらな夜、空にかがやくたったひとつの星だけがともだちでした。ところがある日、星がいなくなってしまいます。さみしくてたまらないキツネは勇気をだして―さよならがはじまりになる、心あたたまる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
188
美しい装丁、柔らかな肌ざわり、身近なところにある輝きの大切さを教えてくれる絵本。皆の上には夜空が広がっている。雨が降れば見えない日もあるけど、誰しも見上げれば星を数えることができる。この世には流れ星になるほど数多くの瞬きがあるはずなのに、今夜もたったひとつだけ、この森の隙間から煌めく。見上げてごらん。明日はないかもしれないこの光を。失わないと気づけないことがある。どれほどこの灯がキツネを支えてくれていたのか。夜がなぜか心細くてたまらない。でも閉じこもってしまったら見えるものも見えないから。また星を探そう。2023/08/12
❁かな❁
164
大きな森のおくふかくにすんでいる、とてもちいさなキツネの物語。星はキツネにとってたったひとりのたいせつなおともだち。いつもかがやいて見守ってくれていた星がある日いなくなってしまって…。どんな時も寄り添ってくれて、いつも一緒だった大切な人が突然いなくなるとすごく悲しくて寂しくて泣きたくなる。失ってからどれだけ自分にとって大切でかけがえのない人だったかわかる。布地の美しい紺色の装幀が素敵。中も繊細で綺麗に描かれていて素晴らしい。全ページ、デザイン性に優れている。シンプルで温かいお話で幅広い世代で楽しめる絵本。2018/06/01
けんとまん1007
80
本当に、丁寧に手をかけて作られているのがわかる。まず、とても美しく、ページをめくるのが楽しい。ページの隅々まで眼が行ってしまう。キツネと星が象徴するものに、思いを馳せる。一見すると、キツネの成長譚のようでもあるが、もっと奥行きがあるように思う。読む人の感性に委ねられている。2022/03/20
かりさ
77
宇宙の果てに無数にある星は何万光年と遥かなる時間をかけて地上にいる命あるものたちに光を届けてくれます。夜空に瞬く星たちはいつでも希望の光として在り続けます。孤独なキツネと星のお話は、例え孤独であろうとも心に拠り所するものがあれば生きる活力となり希望となり光を見いだすのだと教えてくれます。孤独だと心を閉ざさずもう一度自分の周りをよく見ればちゃんと見守ってくれる人たちがいるはず。そんな一歩を踏み出す勇気を伝えてくれます。星空のように濃紺な布装に箔押しの美しい絵本。大切な人に贈りたくなります。2018/01/12
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
56
紺色の布張りの装丁がとても豪華で素敵でした。そして中身もデザイン性に溢れ、アートな雰囲気。森にひとりぼっちで住んでる小さなキツネは夜空に輝く星一つが唯一の友達。ある時、星を見失ってしまい探しに行きました。大切なものを見失うのはとても悲しい。しかし信じていればまた出逢える。そしてもっと視野を広げれば新しい発見もある。そんな希望に満ちた物語でした。この世界観がとても好きです。2018/07/31