著者等紹介
小川未明[オガワミメイ]
1882年~1961年。上越市に生まれる。『赤い蝋燭と人間』、『金の輪』等、美しくも哀しい、情感豊かな物語は、現在も読み継がれ、多くの人に愛されている
古志野実[コシノミノル]
1949年~2014年。島根県に生まれる。力強く大胆なタッチ、多様な表現力で様々な作品を描く。20代に安来、松江、30才以降、原宿、銀座にて個展開催。作品にアニメーション「月とあざらし」「殿さまの茶わん」「負傷した線路と月」等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒラP@ehon.gohon
18
前半は傷ついた線路と花とのやり取り、雨や風とのやり取りが、とても情感に満ちていて余韻を残す作品です。 後半は一転して、月の犯人探し。 線路を傷つけた機関車を探し歩く月は、車輪を負傷した機関車を見つけます。 それならば誰が悪いのだろう。 まとまりにかける作品のように思われますが、結論は読者に任されているのかもしれません。 最後に描かれた画面一杯の赤ん坊の笑顔が素敵です。 古志野実さんの絵が素晴らしいと思います。2018/06/12
ぽてちゅう
16
人は弱い生き物。自分が、自分が、自分が大事。心のバランスを崩した線路、機関車、箱(コンテナ)が、お月様に我が身を嘆き救いを求めます。でも、誰のせいでもなかった。ただ辛いを抱えるあまり、相手のことを思い遣る余裕がなかったのです。お月様はさやけき光で夜を照らけど、弱くなった人の心を明るくできるのは、お月様のように真んまるで無垢な子どもの笑顔なのかも知れません。2020/08/10
遠い日
13
小川未明と月はなんともよく似合う。そして、このタイトルが秀逸。こちらも古志野実さんの絵が本当にすばらしい。機関車に傷つけられた線路の言い分を聞いてはみたものの、探し当てた機関車もまたその者なりの悲しみと憤りを抱えていた。月の慮りをよそに、とびきりの笑顔を見せた赤ん坊に、ただ月は頷いたことだろう。2018/04/22
ケニオミ
9
立場が変われば、物語の違った側面が見えてくる。一方的に悪いというようなケースは稀である。このテーマを中心に据え、心優しい自然の脇役に配することで、線路の痛みと、周りの心配りが心に伝わってきました。よい絵本です。2018/05/10
おはなし会 芽ぶっく
8
絵本講座【図書館員のおすすめ絵本】 【SDGs3 すべての人に健康と福祉を(病気・怪我・医療)】 2018/12/01