内容説明
ガッタン、ゴットン。ムーンライトは夜空を走る。ガッタン、ゴットン。無数の蛍の光を縫うようにして、どこまでも走る。「ミルばあさん、僕…」ミルばあさんは、目の前の夜空を見つめている。「運命は変えられたかい?」ミルばあさんは僕に尋ねた。汽笛がもう一度鳴り響き、ムーンライトは、ぐんぐんスピードを上げた。ガタン、ゴトン。緑色の光の渦を突き抜けてゆく。ギギーッ。ミルばあさんがブレーキをかけた。速度が急に落ちる。パッと視界が開けた。晴れ渡る空。広大な大地が広がっている。「うわー、きれい」たんぽぽのじゅうたんを眺めながら、ミーナが息を飲んだ。電車はゆっくりと走る。「こんなところで暮らしてみたいわ」たくさんの犬が、たわむれている。
著者等紹介
新澪ハルカ[シンミョウハルカ]
東京都渋谷区生まれ。早稲田大学教育学部卒業。中学時代から推理小説や詩を書きはじめる。会社勤めの傍ら、捨てられた動物たちを主人公とした小説をブログで発表。現在は、「ニート」をテーマにした詩と、携帯電話のカメラで撮った風景写真と詩のコラボレーションにも力を入れている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ruruti
2
野良犬のトッティの仲間たち、生き残ったのは、飼い主に巡り合えた犬猫だった。トッティも最初に拾ってくれた女の子に会うために、天国よりも生きることを選ぶ。ビーグルって前向きで、大きなキラキラの目を持っている。トッティが希望に満ちた澄んだ目を持ち続け、飼い主さんに再開できるように祈りたい。ペットは、家族の一員。大切な我が家のビーグルを捨てるなんて考えられないが、迷子にさせないようにしなければ・・・と肝に銘じた。2012/08/20
るか
0
★★★★☆
暇潰し
0
下巻では主人公が過ごした河原での幸せな生活と、そこからまた始まる転落の人生。そして最後は少しの希望を仄めかしたエンドとなる。 完全なハッピーエンドでなく読者に結末を想像させる手法は、捨て犬という報われることの少ない立場において効果的だと思われる。しかし、そこに至るまで作者の文章力が物足りないと感じた。「頑張れ 頑張れ タッタッタ」は心に残る表現だが、所々今までの流れに合わない固い文や、同じ表現の使い回しが多く見られる。 リアルに振ったフィクションか、思いっきりファンタジーにした方が良かったのでは?と残念。2018/08/07
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- 和書
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