内容説明
さまざまな料理のうちにひそむ一般的原理を解き明かした、玉村豊男の会心作。「干物は太陽で焼くロースト料理」「ステーキはサラダである」など、仰天のおもしろ理論を展開して注目を浴びた快著のオリジナル復刻版。
目次
1 料理のレパートリー(アルジェリア式羊肉シチュー;仔羊の背肉ポンパドゥール風 ほか)
2 ローストビーフの原理(フライパン焼きローストビーフ;野宴式ローストビーフ ほか)
3 てんぷらの分類学(ポンムフリット;サンダース式若鶏唐揚げ ほか)
4 刺身という名のサラダ(タイの洗い無意識風;タイの干物置き忘れ風 ほか)
5 スープとお粥の関係(チョルバ・デ・ブルタ;茹で肉の緑ソース ほか)
6 料理の構造―または料理の四面体について(ポーチド・エッグ;豆腐のくんせい ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hatman
10
料理のメタ認知本質本。全ての料理は火を頂点とし空気・水・油を介して状態変化させた四面体になる。底辺は火から最も遠い生もの。だた、一度調理されたものを再度ゼロベースで生ものの扱いとすると料理の幅が広がり何でも当てはまる。豆腐は生ものだが製造過程で大豆を水に漬けてボイルする。欧州では料理は加熱前提なのでサラダや生ものにはシェフは手を出さない。日本との料理文化の違いも面白い。オードブルはメイン料理が出てくる前のつまむもの。ゴリゴリな キリスト教文化圏ではタコは悪魔の使いで食用にしない。2023/04/22
Lagavulin
5
堀元見推薦の本質本。この観点で料理を眺めると面白そう。目の付け所、語り口が良かった。2022/06/02
群青
1
とあるpodcastで料理の本質本として紹介されていたため興味を持って読んだ。 この本の大事な部分は最後の20ページくらいに詰まっている訳だが、そこを爽快な気持ちで読み進めるためには前半の実例部分もちゃんと読まなければいけない。でもその部分も筆者の軽快な語り口で面白く読める。非常に面白い。 タイトルも素晴らしい。単体(simplex)という概念を理解しているインテリ筆者の美しいアイデアタイトル。本当に好き。良さの半分はタイトルにあると言ってもいい。2021/01/19
construction
1
某所で本質本として紹介されていたため、読む。初版こそ古いが、調理法の本質に対する捉え方は現代においても通ずるものがあった。長らく絶版が続いていたが、廉価で電子書籍化されたのは喜ばしい。2021/01/24
しろくろ
1
オススメされて。干物は太陽という熱源を用いた究極の加熱料理であるし、ソース組み合わせによって作れるバリエーションなど「そう言われればそうかも!」と納得してしまった。これを読んで目くじら立てるより、「そう考えると面白いね」って言える余裕がある人とご飯食べたい。2016/05/09