内容説明
文学は権力と主体の関係(主体化=権力化)をどのように描いてきたのか。夏目漱石、森〓外、伊藤左千夫、横光利一、坂口安吾、中野重治、遠藤周作らの文学を縦横に論じて、文学と権力の本質に迫る。「中本たか子小伝」を付す。
目次
1 漱石文学の応答責任(転移する「こころ」;手記の宛先;「坊っちゃん」の応答責任;漱石文学の謎)
2 文学と権力(「高瀬舟」の“他者”;「野菊の墓」の寓意;「マルクスの審判」の正義;権力の表現)
3 戦後の風景(「萩のもんかきや」私注;「海と毒薬」と同時代;「桜の森の満開の下」の主体―「羅生門」を合わせ鏡として)
4 表現の横断(表現の自由をめぐって;年上の女が先に死ぬ物語;近代の恐怖現象)
5 中本たか子の時代(生い立ちと上京 中本たか子小伝(一)
活躍と左傾 中本たか子小伝(二)
拷問と入院 中本たか子小伝(三)
服役と再出発 中本たか子小伝(四)
戦中と終戦 中本たか子小伝(五)
資料紹介 中本たか子の書簡)
著者等紹介
矢本浩司[ヤモトコウジ]
1972(昭和47)年生まれ。立命館大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程満期退学。相愛大学非常勤講師、高等学校教諭、梅光学院大学特任准教授・梅光学院中学・高校教諭を経て、現在は帝塚山大学・京都精華大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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