内容説明
『こゝろ』をめぐる論争の当事者が、夏目漱石の代表作を冒頭分析で論じる。
目次
吾輩は猫である
坊っちやん
草枕
虞美人草
坑夫
三四郎
それから
門
彼岸過迄
行人
心
道草
明暗
著者等紹介
小森陽一[コモリヨウイチ]
1953年東京都に生まれる。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
80
すぐれた小説の冒頭部には、その全体像が刻み込まれているはずだという持論から、冒頭四百字前後を引用し、その分析から全体を見通すということを「吾輩は猫である」から「明暗」まで13作品を俎上にあげている。一文毎に人称、文体、呼称、テーマを細かく分析し、論文を読んでいるようだった。漱石が「吾輩は猫である」の英訳を「I AM A CAT」を可とするも、海外の友人へ「a cat speaks in the first person plural, we」と訳しており、自身の小説の英訳本を書いたら面白かっただろうな。2020/09/10
Sosseki
2
「深読」という題の通り、こじつけ、考え過ぎと思えた部分もあったが、今まで気づかなかった視点がいっぱいで面白かった。虞美人草が「四面楚歌」の話だったことも、全く知らんかったし、作品中にその時々の時事問題が埋め込まれていることも指摘されなければ現代人にはなかなか分からないと思う。もう一度読み直したくなった。2020/06/12