内容説明
日本のmodern playは西欧からの輸入であり、つねにその跡追いをしてきた―という、従来の定説を疑い、それは日本の、それぞれの時代を生きた人々の、まるで糸吐く蚕のような、内からの衝迫に突き動かされた自己表現であり、どうしてもそれでなければならない必然から選ばれた手法と形式が日本近代劇の歴史を作ってきたのだ、と見る画期的な研究書。明治から敗戦まで、おのおの新しい地平を開いた劇作家たちの作劇術と、その生き方、思想との相関関係を探る―。いま新しい演劇はほんとうに新しいか?同時代演劇へのひそかな問いかけでもある…。
目次
戯曲史への試み(日本の近代戯曲1879~1945;補 近代戯曲における「自」と「他」について)
作家・作品論(透谷のドラマトゥルギー・再論;透谷の恋愛・詩人の誕生;北村透谷「蓬莱曲」;付 北村透谷―その近代戯曲史における評価のための試論;島崎藤村のドラマトゥルギー ほか)