内容説明
伝説の廃墟写真集「無国籍地-1954」。50年の時を超えて、息づく映像、少年期への鎮魂歌
著者等紹介
奈良原一高[ナラハライッコウ]
1931年福岡に生まれる。1954年中央大学法学部を卒業。奈良の仏像を見て影響を受け、早稲田大学大学院に入学し、美術史を学ぶ。フォトシリーズ「無国籍地」「人間の土地」を撮り始める。1956年初めての個展「人間の土地」を銀座・松島ギャラリーで開き、写真家として活動を始める。1959年早稲田大学大学院修士課程を修了。セルフ・フォト・エージェンシーVIVOを東松照明、細江英公、川田喜久治、佐藤明、丹野章と結成(‐’61)。戦後写真史の転換に大きな役割を果たす。1962‐’65パリを中心にヨーロッパに住む。1965‐’70東京に住む。1970‐’74ニューヨークに住む。1974‐以後、東京を中心にして活動する。1999‐九州産業大学大学院教授。主な受賞は1958年日本写真批評家協会新人賞。1959年第2回ヴェネツィア国際写真ビエンナーレ銅賞。1967年日本写真批評家協会作家賞。1968年毎日芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、1986年日本写真協会年度賞。1987年東川町国際写真フェスティバル国内作家賞。1996年紫綬褒章
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なる
13
その後六十年以上にわたり写真を撮り続けた奈良原一高のまさにデビュー作と言える作品群。廃墟となった砲兵工廠を、軍需工場で働いた経験を持つ独自の目線で切り取る。屹立した塔を冒頭に添え、否が応でも空漠な想いを鑑賞者に予感させる。すでにその機能も目的も失った軍需工場は国籍のない土地。おそらく戦時は活気にあふれていただろうその跡は人の意志の気配もなく圧倒的な不毛さを表出させて唯そこにある。本人のあとがきからも意気込みを感じ取れる。まさにここから滑り出すように奈良原一高のビートは始まったんだな。2020/07/01
NагΑ Насy
7
世界の見方がまるで違う。レンズを通して切り取られた、影。2015/02/15
gu
4
あとがきより『写真の素晴らしいところは、その表現が「究極の無」であることだ。「そこに何もない」その爽やかさが僕を飽きさせない。宇宙そのもののように』。写真はその場所であってその場所でないものを写しているのかと思ったり。影、というか照らしているものがあるということに何故かわくわくさせられる。2015/03/04
NагΑ Насy
4
クリスマスに2014/12/25
amane
1
奈良原の処女作をまとめた写真集。戦後の砲兵工廠跡のコントラストを効かせたモノクロが素晴らしい。 写真の素晴らしいところは、その表現が究極の無である事だ。p472020/02/08