内容説明
彼女がいつもより一杯だけ多く、三杯目のマティーニを飲んだ夜、わたし達は初めて男と女の関係になった。珍しく東京に雪が降っていた日のことだった…。表題作「寂しいマティーニ」をはじめ、都会に生きる男と女のせつなさを、マルガリータ、ダイキリなど色鮮やかなカクテルが飾る21編の恋愛小説。心地よい酔いの魔法は、弧独まで癒してくれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
greenish 🌿
31
(再々読)一杯のカクテルが馥郁たる香りを放ち、心の隙間に注がれる。バーに集う男と女の甘く切ない21の物語 ---NYと東京。女の過ごしたNYの1年は長く、そこには男の記憶にない女とオリーブのない殺風景なマティーニが佇む…(寂しいマティーニ)。カクテルにはそれぞれ誕生秘話があり、男と女にもまた、出逢いも別れも、甘さ苦さの物語もある。夜という刻限、酔いという状態の中で、時に抒情的に時に感傷的に…。グラスの中で溶け合ったリキュールのような、綯い交ぜの味わいを醸しているオキさんの短編、実にいい余韻がありました。⇒2017/06/17
greenish 🌿
31
(再読)マティーニ・マルガリータ・ブラックベルベット・ミモザ…。一杯のカクテルが馥郁たる香りを放ち、心の隙間に注がれる。バーに集う男と女の甘く切ない21の物語 ---蔵書整理して見つけた15年程前に読んだ本。懐かしい香りがしました。 一つひとつのカクテルに誕生秘話や味わう男女の物語が宿っている。お酒を飲む行為は、人生に奥行きをもたらしてくれるのであろう。 《ブルーマンデー》憂鬱な月曜日の名を持つウォッカベースのカクテル。「憂鬱なことがおありなら、一緒に飲み流しておしまいなさい」2014/01/16
再び読書
12
やはり、この人の語る話は安心感と粋を感じる。酒は夜と直結し、恋と連動することがお決まりと思われる。いつ読んでも間違いが無い、この人の本を読むとギブソンに心を惹かれる。それとカンパリに強い思い入れがあるように感じる。特にカンパリ・ソーダは苦手なだけに、アメリカーノも少し気が引ける。まだまだ苦さが解からない幼児性を僕がもっているせいかも知れない。第二の人生にバーテンにと夢みるぼくの楽しみです。2014/05/17
shino
4
シリーズ5冊を頂いたもの。お酒をお題にしたショートストーリーで、軽く読めました。軽く読ますのも、技術だなあと思います。2014/02/19
momo
3
1話12ページなので、何かの合間にさらっと読んでもいいし、じっくり味わいながら読んでもいいし、まるでカクテルのような掌編集。2014/01/07