感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
110
まるで昼ドラのような一冊。往復書簡形式のミステリ、面白かった。長い間、姉妹のように信頼し合っていた綾子と弓絵。そして秘められたお互いの夫婦、四人の関係。ところが、弓絵の夫が亡くなったのを機に今までお互いの胸にくすぶっていた愛憎がメラメラ。綺麗な文章で綴られていく往復書簡バトルはシーソーのようにぎっこんばったん。まさかの告白に浮かせられ落とされ、何が真実なのか…しかも途中から予想外の女達の闘いへ…。まるでドロ沼昼ドラの世界だわ。女って怖い、すごい。それ以上にきちんとあの日の真相へと導く連城さんの技がすごい。2025/10/14
鱒子
70
女性たちの往復書簡で構成された物語。賢いと自称する女たちの、愛憎相半ばするマウンティング マウンテン。トップクライマーは誰だ!読み終えた今も、何が真実なのか嘘なのか?よく分かりません。翻弄されまくって読了。ああぁぁモヤモヤする……再読必須。ともかくすごく面白かった!2022/12/04
KAZOO
35
書簡小説で、連城さん得意のどんでん返しが最後に。手紙なので、片方は海外に住んでいて、と当時としてはまだインターネットなどはない状態なので違和感があまりありませんでした。かなり工夫を凝らしている気がしました。書簡小説としてはラクロの「危険な関係」がありますが、それを意識しているといわれています。2015/03/26
*maru*
16
夫に先立たれた弓絵と夫婦でスイスに移り住んだ綾子。2人の女の想いと2組の夫婦の秘められた過去。すべては一通の手紙から始まった…。手紙に込められる嫉妬や愛憎や嘘。静かな語り口だからこそ醜さや残酷さがより鮮明に伝わり、嘘の応酬の中から真実を探し出すのも至難の業。ありきたりな物語だが退屈させない美しい情景描写と女性の歪んだ心理描写はお見事です。弓絵と綾子はどんな表情で届いた手紙を読み、そして返事を書いているのか。想像するのも恐ろしい。静寂の中に愛されたいと願う女の悲痛な叫びが響き渡るような作品でした。2016/06/27
紅
10
女性たちの往復書簡もののミステリ。真実と嘘の混じり合う手紙の行きかい。そして、少しずつ見えてくる真実。とにかく素敵でした。連城さんの文体とか言葉遣いとか雰囲気とか、大好きです。2013/03/27




