内容説明
5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減していた。国連軍との本土決戦のさ中で、アンダーグラウンド兵士の思いは、こうだ。「人類に生きる目的はない。だが、生きのびなくてはならない」。472枚、書き下ろし作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
39
密度と熱量が凄い作品だと思いました。5分の違いだけで世界はまるで違うものになってしまう。「if」に飲み込まれる感覚に陥ります。現在にはまりこんだらと思うと怖さすら感じました。2024/03/28
まる
26
「もし、本土決戦を行わずに、沖縄を犠牲にしただけで、大日本帝国が降伏していたら、日本人は「無知」のままで、生命を尊重できないまま、何も学べなかったかも知れません」もし降伏していなかったら、の世界。戦後70周年の節目に読めて良かったです。なかなか状況が掴めず最初は苦労しましたが、途中からは止まらなくなりました。それにしても、こんなところで終わるなんて…2015/06/28
おすし
21
第二次世界大戦が終わっていない並行世界での精神的にも肉体的にも強い日本人!!という悦に入った、思想的威圧感が濃すぎ世界観で閉口…。愛国心や日本人の誇りは大事ですが、日系人や“アメちゃん”などバカにして優越感に浸るようなのは不快だな。戦闘の描写からの、唐突な音楽の話とか、なんだか書きたいことを書き散らした感。女性は“雌”的な扱いだし、魅力的な女性を表現するのに“なまめかしい”のみ多用する芥川賞作家(笑) あとがきによれば最高のものになったそうですが…私には合わないかなぁ、と思いました。2021/12/18
冬木楼 fuyukirou
20
20年前の著作。広島・長崎に原爆投下の後も降伏しなかった日本に時空スリップしてしまったパラレルワールド物。国連軍(アメリカ)に抵抗するゲリラとしての日本人。アンダーワールドに暮らす日本人がストイックかつ技術的に優秀という点は美化しすぎだ。戦闘シーンはグロい。先に読んだオールドテロリストもそうだったが、戦闘でもテロでもやられる側の描写が生々しくて、戦闘やテロに巻き込まれるのは絶対に嫌だと確信できた。 読了後も心がざわざわする。 2017/08/20
ちゃちゃ
19
世界中が理解できる方法で勇気とプライドを示し続けること・・・。どうあっても前を見据えて生き抜いていくことが大切なのだ。闘い続ける・・・。2011/07/23