内容説明
「愛するわが祖国、愛するわが家族、生きぬかなければ」―古い机に書かれたきみょうな落書き。転校先で出会ったミステリアスな日本人トシ。12歳の韓国人少年ボンジュの好奇心は、思いがけない出会いをひきよせた!第11回文学トンネ児童文学賞大賞受賞作。対象:小学5~6年以上。
著者等紹介
ハンユンソブ[ハンユンソブ]
ソウル芸術大学で劇作を、フランスのレンヌ大学で演劇を学ぶ。劇作家兼演出家として活動し、2009年、全国創作戯曲公募展で大賞受賞。第11回文学トンネ児童文学賞大賞を受賞した本作『ボンジュール、トゥール』は著者の初の長編童話。作家として幅広い活動を続けている
キムジナ[キムジナ]
大学で絵画を専攻し、童話の挿絵を中心に活動
呉華順[オファスン]
東京生まれ。青山学院大学法学部卒業後、韓国の慶煕大学大学院国語国文科修士課程修了。第1回「新韓流文化コンテンツ翻訳コンテスト(ウェブコミック日本語部門)」優秀賞受賞。「韓国文学翻訳新人賞(文化コンテンツ映画字幕日本語部門)」大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
76
児童書。YA。分類929▽フランスのトゥールに住む韓国人の少年ボンジュの物語。12歳のボンジュは両親とトゥールへ引っ越してきた。新しい部屋でボンジュは「愛するわが祖国、愛する家族。生きねかなければ」と韓国語で書かれた落書きを見つける。しかし過去にこの部屋に韓国人が住んだことはない。ボンジュは新しいクラスメイトの日本人トシと張り合う。ボンジュが韓国の紹介をすると、トシは北朝鮮について質問してきた▽韓国語の落書きを書いたのは誰か、謎解きが面白い。後半トシの秘密を知ったボンジュの成長がいい。良本。2024.2刊2025/04/05
がらくたどん
54
第11回トンネ児童文学賞大賞作。舞台はフランス郊外。「南」の商社マン一家の息子12歳ボンジュは滞在先でハングル語で刻まれた謎の落書きを見つける。「愛するわが祖国、愛するわが家族 生きぬかなければ」この部屋に歴史の本で見た「独立運動家」みたいな人がいたのだろうか?大昔のヒーローを探すゲーム感覚で落書きの主を探索し始めるボンジュだが。多様な人種と言語が入り混じる社会での「祖国」の意味。フランスの子ども達にとってのアジアの認識。「日本人」を名乗るトシとの出会い。大人が築いた壁を少年達は飛び越えられるのか?2024/05/29
まる子
24
第11回トンネ児童文学賞大賞受賞作。韓国人のボンジュ(小5)の家族は仕事の都合でフランス(トゥール)に引っ越してきた。このアパートの机にハングルで書かれた文字。これが少年の心を動かすきっかけに。韓国籍のボンジュ、日本国籍のトシ、彼らの中にある疑問「北朝鮮」「朝鮮人」とは?なぜ南北に分かれて見えない軍事国境があるのだろうか?北朝鮮はなぜ貧しい国だと思うのか。国籍を隠さなければならない理由。それが子どもにもたらすものは一体…。同じクラスの少年たちは、生まれや祖国は関係なくこれからも友達でありつづけるだろう。2024/04/20
みそさざえ
12
韓国人の著者による日本や北朝鮮へ見方がわかる。フランスに住んでいて謎解きで話が進むので、少し緩和されているが、内容は厳しく重い。日本への潜入などの設定は少し疑問が残るが、未だに分断されている隣国や、差別について考えさせられる。2024/12/26
Mipo
4
フランスに住む韓国人、ボンジュ。“日本人”のトシとのふれあいが書かれる。フランスにいるからこそ見える韓国と日本の関係。机に書かれた謎を文字を子どもだけで解いていく楽しみ。興味深かった。発売が2024年なのでやまねこ賞の対象です(関係者各位)。2024/09/13