出版社内容情報
日の丸・君が代の強制をテコにつぶされた学校デモクラシー。教育の自由を取り戻すための、現場での抵抗の記録と研究者による応答。戦後71年間で、とりわけ民主主義の後退が顕著なのが学校教育の現場。石原慎太郎氏が都知事に就任した1999年以後の東京都、そして神奈川県では、「日の丸・君が代」の強制をテコに、教員と児童・生徒が積み上げてきた校内デモクラシーが踏みつぶされてきた。この10年余りに何が起きたのか。現場での抵抗の記録と研究者たちの応答。
? 「憂慮する会」の十年、東京・神奈川の十年
「学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会」十年の歩み…山田昭次
東京の「君が代不起立」処分状況の十年…斉藤寿子
「神奈川の現場から」の十年…大貫明日美
? 学校への「日の丸・君が代」強制拒否の論理
君が代斉唱・日の丸掲揚を強制する?教育?で子どもたちはどうなる？…山田昭次
「愛国心」の養成のための小学校・中学校学習指導要領改定…山田昭次
関東大震災時の朝鮮人虐殺と日本民衆の「愛国心」…山田昭次
都知事石原慎太郎と都教委の歴史観・思想を問う…山田昭次
戦前・戦後の学校教育と「日の丸・君が代」…藤田昌士
「日の丸・君が代」強制と良心的不服従―「君が代不起立」の思想史的意義…安川寿之輔
? 日の丸・君が代の強制と処分が進む学校で
「もの言える」自由裁判と都立高校の現在…池田幹子
「君が代解雇」を許さない！…根津公子
「茶色の朝」を迎えないために…河原井純子
「日の丸・君が代」に押し潰される障がい児教育…渡辺厚子
「日の丸・君が代」をめぐる神奈川の状況…三輪勝美
都立高校の現場からの報告…大能清子
●裁判報告
二つの不当・悪質な判決…黒田貴史
君が代不起立に対する二〇一二年一月十六日の最高裁判決の批判…山田昭次
? 学校教育にもちこまれる歴史修正主義と「特別の教科 道徳」
教科書・副教材叙述の問題と歴史教育への政治介入…田中正敬
「特別の教科 道徳」と私たちの課題…藤田昌士
? 教育現場での民主主義と自由のために
学校現場の現在と課題 10・23通達から十年 いま市民がやるべきことは三つ…大森直樹
安倍政権の教育法と教育現場 二〇一五―一八年の市民と教育界の課題…大森直樹
●裁判報告
なんと、勝訴！ 「君が代」不起立停職六か月処分はとりけされた！…根津公子
学校に対する君が代斉唱、日の丸掲揚の強制を憂慮する会［ガッコウニタイスルキミガヨセイショウヒノマルケイヨウノキョウセイヲユウリョスルカイ］
共同代表：粟屋憲太郎・立教大学名誉教授、田中正敬・専修大学教授、山田昭次・立教大学名誉教授。
山田昭次［ヤマダショウジ］
1930年埼玉県生まれ。近代日朝関係史。立教大学名誉教授。学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会・共同代表。著書：『全国戦没者追悼式批判―軍事大国化への布石と遺族の苦悩』『関東大震災時の朝鮮人虐殺とその後―虐殺の国家責任と民衆責任』ほか。
藤田昌士［フジタショウジ］
1934年京城（現ソウル）生まれ。教育学。元立教大学教授。著書：『道徳教育 その歴史・現状・課題』『学校教育と愛国心―戦前・戦後の「愛 国心」教育の軌跡』ほか。
安川寿之輔［ヤスカワジュノスケ］
1935年兵庫県生まれ。近代日本社会（教育）思想史。名古屋大学名誉教授。著書：『福沢諭吉の教育論と女性論』『福沢諭吉と丸山眞男―「丸山諭吉」神話を解体する』ほか。
池田幹子［イケダミキコ］
1948年東京都生まれ。元東京都立高校教員。
根津公子［ネヅキミコ］
1950年神奈川県生まれ。元東京公立学校・都立学校教員。
河原井純子［カワライジュンコ］
1950年茨城県生まれ。元東京都立特別支援学校教員。
渡辺厚子［ワタナベアツコ］
1950年福井県生まれ。元東京都立特別支援学校教員。
三輪勝美［ミワカツミ］
1953年秋田県生まれ。元神奈川県立高校教員。
大能清子［オオノキヨコ］
1959年大阪府生まれ。東京都立高校教員。
黒田貴史［クロダタカシ］
1962年千葉県生まれ。学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会・事務局。
田中正敬［タナカマサタカ］
1965年東京都生まれ。朝鮮近代史。専修大学教授。学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会・共同代表。著書：『地域に学ぶ関東大震災―千葉県における朝鮮人虐殺 その解明・追悼はいかになされたか』（共著）。
大森直樹［オオモリナオキ］
1965年東京生まれ。教育学・教育史。著書：『日本の中国侵略植民地教育史 第１巻』『原発災害下の福島朝鮮学校の記録』『靖国神社と歴史教育―靖国・遊就館フィールドノート
斉藤寿子［サイトウトシコ］
1955年東京都生まれ。学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会・事務局。
大貫明日美［オオヌキアスミ］
1960年東京都生まれ。学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会・事務局、神奈川県立高校教員。
目次
１ 「憂慮する会」の十年、東京・神奈川の十年（「学校に対する君が代斉唱・日の丸掲揚の強制を憂慮する会」十年の歩み；東京の「君が代不起立」処分状況の十年 ほか）
２ 学校への「日の丸・君が代」強制拒否の論理（君が代斉唱・日の丸掲揚を強制する“教育”で子どもたちはどうなる？；「愛国心」養成のための小学校・中学校学習指導要領改定 ほか）
３ 日の丸・君が代の強制と処分が進む学校で（「もの言える」自由裁判と都立高校の現在；「君が代解雇」を許さない！ ほか）
４ 学校教育にもちこまれる歴史修正主義と「特別の教科 道徳」（教科書・副教材叙述の問題と歴史教育への政治介入；「特別の教科 道徳」と私たちの課題）
５ 教育現場での民主主義と自由のために（学校現場の現在と課題１０・２３通達から十年 いま市民がやるべきことは三つ；安倍政権の教育法と教育現場 二〇一五‐一八年の市民と教育界の課題 ほか）
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katoyann
