内容説明
ユーモア作家として一世を風靡した獅子文六(本名・岩田豊雄)の自宅にお手伝いさんとして住み込んだ著者の日常見聞録。1963年末から翌年初め、文六先生は大忙しであった。劇団「文学座」の分裂さわぎ、そして文六先生の芸術院会員決定。応接室には、水谷八重子、杉村春子、岸田今日子、芥川比呂志、小林秀雄、三島由紀夫、飯沢匡、扇谷正造等が次々に訪れた。著者は当時22歳。文六先生・夫人・息子の家族風景とともに、作家・俳優・ジャーナリスト、そして出入りの職人たちまでを、40年を経て鮮明に描き出す。
目次
初めての朝
華やいだ夕暮れ
「文学座」に騒動がおきて
てんやわんやの大騒ぎ!
浮気ごころをユーモラスに
これ僕が書いたんだよ
お酒は妙薬
何と馴れ馴れしく
お祝いが言いたくて
ちょっと散歩に〔ほか〕
著者等紹介
福本信子[フクモトノブコ]
1963年東芝短編小説佳作入選。1972年貿易振興会懸賞論文入賞。1990年西姫路「ふるさと新聞」にミニエッセー連載現在に至る。1992年「播火」同人誌に参加現在に至る。1994年詩集『ふるさとの城は』講談社出版サービスセンター、2003年再版。1994年から2002年にかけて、「神戸新聞」文芸欄に「綱を一緒に…」、「やさしい人」、「着物の染み」、「すず虫」などエッセー入選
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感想・レビュー
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ヨーイチ
33
文六先生なので女中と言いたいが、やっぱりお手伝いさんかなぁ。つまり住み込みのお手伝いの綴った文六先生の人となり。内容は読みたいことが誠実に綴られていて微笑ましい。住み込みのお手伝いさんって(主人の使い方もあるだろうが)観察者としては多分最高の位置にいる訳だが、文章を綴れなくては話にならない。ところが作者は元々そう言う性向を持ち、先生のサイン本を「給料の一部」として貰ったりしている。羨ましい奴である。最初に貰ったのが「海軍」ってのが意味深。晩年の文六先生は三度目の妻と10才くらい!の男の子との三人家族。続く2017/09/14
kokada_jnet
25
1963年に、1年ほど、赤坂の獅子文六宅でお手伝いさんをした作家志望の女性の、回顧文。30年の後に、地元播州の同人誌に連載したもの。詳細な日記を書いていたのであるが、文六先生一家や、文六宅を訪れた知名人たちの描写が瑞々しく、とても、それほどの年月を隔てて書いたものとは思えない。2017/12/24
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