内容説明
竹藪に囲まれた茅屋に蟄居しながら、“高度成長”に背を向けてもっぱら古い現実の補修に心を傾け、人間の真の在りようをすぐれた多くの作品でラジカルに問いつづけた異色の戦後文学者の生涯。
目次
聖人逝く
師との出会い
同人誌『三人』創刊
竹内勝太郎の死と『三人』
戦争へ
『VIKING』の出発
久坂葉子
竹林の隠者
晩年
古里・山城谷村
少年正晴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けん
2
1999年刊。タイトルの通り「竹林の隠者」と呼ばれた、作家、画家の富士正晴の伝記。著者は、富士と交流のあった東大卒の成城高校教諭(執筆時)。そもそも富士に傾倒していた筆者による本書は、とても読みやすく富士の業績とそのひととなり、魅力をよく伝えているように思う。富士といえば、たぬき伝説の宝庫で本場(?)の阿波徳島出身で、1971年に赤殿中たぬきの伝承を元に児童合唱団による合唱の台本を作詞して、その年に文化省芸術祭の優秀賞を受けただけでなく、合唱コンサートで背景に映し出される背景スライドの絵を描き、その絵2025/02/23