内容説明
アレクサンドロスの書記官エウメネスやローマ共和政末期の政治家ポンペイユスら傑物たちの事績を伝える。
目次
キモンとルクルス(キモン;ルクルス;キモンとルクルスの比較)
ニキアスとクラッスス(ニキアス;クラッスス;ニキアスとクラッススの比較)
セルトリウスとエウメネス(セルトリウス;エウメネス;セルトリウスとエウメネスの比較)
アゲシラオスとポンペイユス(アゲシラオス;ポンペイユス;アゲシラオスとポンペイユスの比較)
著者等紹介
城江良和[シロエヨシカズ]
四天王寺大学教授。1957年兵庫県生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2007年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いとう・しんご singoito2
6
歴史や伝記と言うよりもプルタルコスの人間観察や時代批判を愉しみました。ポンペイユス伝の中の「スキュティアやインドの征服も残された大事業であり、そのさいには強欲を覆い隠すために、蛮族の開化という聞こえの良い口実もある」p548という一文は、日本の大東亜共栄圏構想や米国の民主主義の輸出という思想を思い出して、思わずメモってしまったのでした。「聞こえの良い口実」、まさにその通り。2024/10/19
roughfractus02
6
前巻では、著者の時代のローマとギリシャの国力の差が後の歴史に刻まれるローマ人たちの著名度からも窺い知れたが、著者が歴史記述を目指さないという点は、本巻でも一貫しているようだ。対比は、時代を超えた性質(勇猛さ、果敢さ、高潔さ、狡賢さ、好戦的性格)を列挙しつつ、戦争によって国家の強化を目論む人物たちの中に、無駄な戦争を避けるための徳を語る著者の評価を差し挟む。共和制末期の元老院議員セルトリウスとアレクサンドロスの書記官エウメネスと比較では、敵の少ない前者が尊ばれ、好戦的な後者はその能力にかかわらず批判される。2022/06/02
ハルバル
3
「キモンとルクルス」「ニキアスとクラッスス」「セルトリウスとエウメネス」「アゲシラオスとポンペイユス」を収録。スパルタにおいて致命的な跛行障害を抱えながら、卓越した軍事指導者として活躍したアゲシラオス王は凄いと思う。皆それぞれ強烈な個性。ただ歴史的背景抜きに記述を進めるので基本的な知識がないと辛い。特に今巻のギリシャの人物はそれぞれ活躍年代も国もズレているので混乱する。ローマ人物は全員同時代人物なので読み比べられてとても面白かった。ポンペイユス逃避行の逸話は眉唾な部分があっても感動的だった2015/07/23
hi
0
エウメネスが読みたくてピンポイント借り。そしてローマ人は全然分からないので半分くらいしか読めなかった。プルタルコスの人物観を楽しみながら、註で現代的な突っ込みを楽しむ。「エウメネスに厳しすぎるようである(p.355)」で笑った。そうなんだ?確かにディオドロスより厳しい感じはあった。“やっぱ夷狄の者の考えてることなんか”っていう感じは端々にありつつも、ここまでの智将はいない!ってめっちゃ褒められてると思うけど。ヒストリエとイメージがすごく違うのは、ネオプトレモスと取っ組み合いしたり、自分の強さを徹底的に→2025/02/02