内容説明
農地ができると「害虫」が生まれる。人類は、農耕生活を開始して以来、さまざまな害虫の被害に悩まされてきた。その防除を目指して、農薬をはじめとしてさまざまな手法が用いられてきた。しかし、「殺虫剤の逆理」という言葉に示されるように、単に「駆除」を目指したのでは、農業生態系を構成する生物群集の多様な機能を損なうだけで、害虫による被害を抑えることは難しい。生態学の最近の研究成果に基づき、生物間に働く多様な相互作用を利用した害虫管理によって農作物への被害を経済的に許容できるところまで抑制する道を探り、その基礎とその方向性を示す。
目次
序論―新たな害虫管理に向けて
第1部 多様な種間相互作用を活かした害虫管理(捕食者―餌系の種間相互作用;捕食寄生者―寄主系の低密度安定化機構 ほか)
第2部 総合的害虫管理の実際(土着天敵を利用した総合的害虫管理;土着天敵を利用したリンゴ園の総合的害虫管理 ほか)
第3部 害虫管理から総合的生物多様性管理へ(生物多様性と害虫管理;総合的生物多様性管理)
著者等紹介
安田弘法[ヤスダヒロノリ]
山形大学農学部教授
城所隆[キドコロタカシ]
宮城県古川農業試験場場長
田中幸一[タナカコウイチ]
(独)農業環境技術研究所・生物多様性研究領域上席研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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