内容説明
ヨーロッパ山岳地方の入会地紛争とその解決を史料から解き明かし、農村社会の「武装と自力」「地域公共意識」について日欧の比較を試みる。
目次
第1部 農村社会の紛争解決―ゲマインデ間紛争と地域秩序(農村社会の紛争と秩序―研究の現状と課題;ティロルの領邦と農村社会―紛争・紛争解決の空間・制度・史料;ゲマインデ間の紛争とその解決―地域秩序の自律性)
第2部 中・近世移行期の国家と地域社会―領邦令と農村の慣習(社会的規律化とポリツァイ―近世国家の社会統制をめぐって;中世後期のティロルにおける領邦令と社会;マクシミリアン1世時代の領邦令と社会;農民の異議申し立てと新領邦令―国家と社会の交渉;16世紀後半の裁判と農村社会―裁判帳簿にみる紛争解決)
著者等紹介
服部良久[ハットリヨシヒサ]
1950年生。1977年、京都大学大学院文学研究科博士課程中途退学。1990年、京都大学文学部助教授、1995年、同教授、1996年より京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cebecibaşı
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ティロル地方の中世末期から近世前期における、森林の用益権をめぐる史料を中心に、ゲマインデ(ここでは農村共同体に近い意味合いで利用される)同士の縄張りの確定や政府による共有地への規制と農民側の反応を分析している。ティロル地方では農民の武装が比較的認められていることやフェーデと呼ばれる自力救済が伝統的に存在していたことを指摘しながら、当地方の構造分析を通して農村社会のあり方を復元している。トムソンのCustoms in CommonやWhigs and Huntersを彷彿とさせる。2020/02/19