内容説明
建築家・磯崎新は、公営住宅に「ジェンダーの視点」を実現できたのか?「女性専用車両」で想定される性別とは?地理学からの、男性研究・ジェンダー論。
目次
第1部 ジェンダー地理学の課題(男性建築家による空間とジェンダー―岐阜県営住宅ハイタウン北方・南ブロック;日本のジェンダー地理学の潮流と課題―男性研究の必要性)
第2部 ジェンダー地理学の実践(男性を疎外する空間―中年シングル男性の場合;異性愛男性をめぐる空間のポリティクス―政治家の性差別発言を通じて;日常空間における「男性」という性別の意味―セクシュアルマイノリティの視点から;喫煙表象にみる男性身体と空間―たばこ広告のジェンダー)
第3部 ジェンダー地理学の理論(空間・アイデンティティ・カテゴリーの認識論―男性のポジショナリティの再定義)
著者等紹介
村田陽平[ムラタヨウヘイ]
2005年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了、京都大学博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員(名古屋大学大学院環境学研究科)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小木ハム
13
建築・たばこ広告・LGBTQ・政治家の差別発言などの視点から男性の居住・日常・政治・身体空間を扱う本。特に3章は中年未婚男性の生きづらさが言語化されている。社会は障がい者や外国人、女性、子供といったわかりやすい弱者は守ろうとする反面『キモくて金がなくて誰にも相手にされないおっさん』には自己責任論を突きつけて目を逸らす。誰からも救いの手が差し伸べられないおっさんは"無敵の人"となって社会を震撼させる事件を起こす。こうした言説をもはや笑っていられないのではないか。男性の居場所問題。男は仕事にしか居場所がない。2022/07/17
やすろこ
5
ジェンダー地理学という言葉知らなかったけれど、意外と身近な空間にジェンダー問題が潜んでいることが知れた。特に男性学は私にとって新しい視点で面白かった。ポジショナリティはジェンダー問題にはとても大事な要素なのに私自身も考えたことがなくて勉強になった。2021/09/10
Rollin'
3
ジェンダー地理学という分野があるのを初めて知った。空間の社会学という観点から非常に興味深い研究だと思う。高齢化と結婚の高年齢化を考えると、今後ジェンダー問題は男女同等に重要な意味をもってくるだろう。ただ最終章で、現象学的なアプローチについて述べられている部分は、何か唐突な感じがする。思想的に捉えるのか、統計的な分析なのか、ジェンダー地理学の向かう方向はどちらなのだろうか。2011/01/22
Special77
1
性別と、それに「関連付けられる」居場所についての考察。こんなところにもジェンダーがと、意外な発見がある。2015/07/26