内容説明
本書では、文学、美術、音楽の諸領域が有機的にかかわる現場を重視し、幕末以降、今日にいたるまで、百数十年におよぶ日仏文化交渉の内実と創造性そのものを、あくまでも具体的に問いなおすことに主眼がおかれている。
目次
1 出会いと触発(「フランス」との邂逅;『懺悔録』の翻訳と日本近代の自伝小説―藤村の『新生』;木下杢太郎とフランス文化;「反語的精神」の共振―林達夫とジャンケレヴィッチ)
2 受容と創造(岩野泡鳴とフランス象徴詩;近代史の移入から創造へ;九鬼周造の押韻論とフランス文学;創造的フランス―竹内勝太郎のヴァレリー)
3 虫と花のジャポニスム(フランスから来た「日本」―『蜻蛉集』挿絵について;『蜻蛉集』における実りと萌芽―和歌とフランス詩の接点;高島北海の日本再発見―フランス滞在がもたらしたもの;『失われた時を求めて』にみる菊の花―愛の憂いと嫉妬を秘める)
4 もう一つのオリエンタリズム(世紀末フランスにおける日本趣味とフロベール;「日本」を書く―ピエール・ロティ『お菊さん』の位置;マルロー『人間の条件』と日本―「静謐」sereniteの夢;媒介者としての「水の風景」―日本近代文学を中心にして)
5 幻のパリ(ドイツ音楽からの脱出?―戦前日本におけるフランス音楽受容の幾つかのモード;ドビュッシーと日本近代の文学者たち;憧れはフランス、花のパリ;日本人にとってシャンソンとは何か?―シャンソン受容史の試み)
著者等紹介
宇佐美斉[ウサミヒトシ]
京都大学名誉教授。1942年愛知県生まれ。1967年京都大学大学院文学研究科修士課程修了。関西学院大学文学部助手、同専任講師、同助教授を経て、1980年京都大学人文科学研究所助教授。1993年同教授。2006年定年により同退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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